きっかけは
錆びついた剣の軋み――
誰にも抜けないこの剣は太古から
バルバロイの封だとも言われていたわ
この地の歴史における封印であり
最初の武器であると
でも、この地にバルバロイが現れ始めた
それがどういうことかわかる？
- 封印が緩みかけている？
- 実は封印ではなかった
カリバーンによる封印が
緩みかけているから、とか…？
その説が濃厚とされているわ
真実かどうかはわかんないけどね
…見てて
えいっ
実は封印ではなかった、とか…？
わたしはその線もあると思ってるの
普通に考えて、内からバルバロイが出て来たなら
緩んで剣が抜けそうなもんじゃない？…でもね
えいっ
やはりビクともしませんね
物理的な緩みではないようです
そもそもキャメリアードは
この剣を守護する役目を得た国だったの
で、カリバーンは土地から力を奪う魔剣
それに資源が吸い取られちゃって…
我が国はビンボーになった…
とか嘆く者もいたけど、どうかしらね
- 貧乏は自己責任だ
- 土地の力が尽きて封印が緩んだ？
人のせいにするな
貧乏は自己責任だろ
ぎゃー！出たわコイツ
自己責任を押し付けないでー！
あと人じゃなくて剣のせいかもって話！
剣から人でも出てくれば話は別だけど！
土地の力が尽きたから
封印を維持できなくなってしまったってわけか？
うーん…
そうかもしれないし
封印が緩みはじめたから
余計に土地の力が吸われてしまったのかも
そもそも土地の力を吸い取るという言い伝えが
正しかったのかもわかりませんけれどね
そこに、いらっしゃいますか？
──『継承者』
…声？
ノワール様？
ま。あわれ学園の入学試験会場は
バルバロイも闊歩することと成り果てました
記憶と絆を紡いで
魂を選択する者
…それにしては静か過ぎませんか
バルバロイの一匹すらいないのは──
（………っ？
この声、ギネヴィアたちには聞こえていない？）
ここはスゴイ聖なる力でも出てるんじゃない？
ほら、なんかこう、スゴそうな、こう…
…早めに儀式を済ませましょう
長居は無用でしょうから
いい？素養が少しでもあるなら
わたしの実家を取り戻す手伝いをすること
カリバーンに手をかざして──
詠唱を
わたしに続けて
空より続かぬ限られし
いずれ地に帰す百年足らず
汝は誰かと名を刻めるか
刃と成るか、鞘はあるか
武器が記憶を 呼び起こし給え
………あっれえ…？
…殿下は共鳴されておりますが
お、俺は………
うんともすんとも
なんともかんとも
な、なんだ！？
アアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア！
げ。なによ、あの数…！
まさか、バルバロイの待ち伏せ…ッ！？
…殿下が仰せの『なんかスゴイ聖なる力』は
とうの昔に失われているのでしょうね
うるさい！あぁ、もう…！
人の国に土足で──…！
継いで くださいますか？
…！？また、声…………？
それにしても、このカリバーンの朽ち果てよう…
もはや封は限界に至っているのかも──…