涙の訴えでもしてみる？
あー ああー
パパ、おねがい、もうワガママ言わないから
お父様…
どうかギネヴィアの言葉を聞いてあげて！
家出したいとか貧乏はイヤとかもう言わない
構って欲しいからって喚いたりしないから…！
おかえりって、言ってよ！！
うー
ふっふふっふふふふふ、あっはははははははは
はずかしい、みじめったらしい、ばかみたぁい
ふっざけんな！
手の込んだ嫌がらせみてーなことしやがって！
そうよ、悪い思い出が増えたほうが
私たちバルバロイには食べ甲斐があるの
だからたくさん恨んで、妬んで、憎んで、憤って
貴方たちの存在も醜く美味しく育てて？
ほっんと最低。許せない…！
…ギネヴィア殿下
父君はバルバロイに侵蝕されています
わかってる…！
バルバロイに消化され切ってしまえば
父君に関する記憶は完全に欠落してしまう
…完全に…！？
ですがその前に、憑いたバルバロイを討てれば
存在の記憶は遺る
………や、だよ…
わたしが、パパをころすの？
私たちの選択肢はふたつ
ひとつ。バルバロイに喰われ
世界から、歴史からその存在が消える
ふたつ。バルバロイを討ち
彼の者が存在したと未来に語り継ぐ
わかんないよ！選べないよ！！
あああぁあぁっっ！！
お姉ちゃん！？
ちなみに喰われてしまえばバルバロイとして
一生この城で家族水入らずで過ごせるわ
価値があると思うほうを選んで、どうぞ？
…そ、んなの………！
こっちだ！！
この派手な飾りを狙え！！
…ッ！？
…宝石
ギネヴィアッッ！
「限られた資源は有効に使え」！
ッ！？
「その場の選択肢のなかから
価値あるものを見つけ出しなさい」
要は
そーいうことなんじゃないかと思うわけ
（ちがう）
そういうものをいっぱい集めて
わたしはリッチになるのよ
（ちがうんだ）
………それ、リッチな、かんじ…？
…似合いそうだと思ったから
（本当は、わたし──…）
ギネ、ヴィア…！？
あら。なんだかヤブヘビだったかしら
高望みしたって、ダメね
うっ、あー？
………パパ
価値のありなしじゃ、ないよね
わたしに似合うものならいいよね
忘れられないものなら、もっといいよね
アッアアアアアアアアアッアアアアアアア
わたし、現実も怖いし、着飾ってても怖いよ
選び間違ったらどうしようって、ずっと思ってる
だけどわたし
忘れたくないよ
パパのこと──…
忘れて平気じゃいられないよ
ぎ、えいああああ、ぎえまぅあああああ
死の記憶に眠る切先で
幾百貫け白き聖槍──
ブチ抜け
ロンゴミアントッッ！！
仰せのままに…！
パパ…見ててね
旅に出ても、帰って来るから
弱っちくても、強くなるから
オシリついても立ち上がるから
だから──…
手を貸してくださる？
- 傭兵だからな
- 友達だからな
雇われ傭兵だからな
…うん
給料ぶんぐらいは働いてもらうわ
友達だからな
うん…っ、ともだち
ともだちになったもんね？
ノワールっ
ティルフィング！！
殿下
私に出来ることはわずかですが
…ごめんね、ティルフィング
ずっとキャメリアードの封として
ブリテンを護ってくれてたんだもんね
…この地の御力を
お借りしていたのかもしれません
でも…ありがとう
このぐらいの数なら
やっつけましょう
さあ、おねだりさせてよね
故郷に金色、飾りましょ