「あなたが隣にいる。それだけでこの困難も
たやすく乗り越えていける気がします」
「ひとつ誓いを立ててもらえますか？」
………えーっと
…「な」
な？
「なん」
「なん」…？
次のあなたの台詞！！
「なんなりと」！！
ちゃんと承りなさいよぉ継承者ぁ～
終わったら木の衣装あげるから
がんばってよぉ
かさばるな
いいでしょ？
片づけづらくって
ソレを見るたびに舞台のこと思い出すのよ
ベッドサイドにでも置いといてね
台詞…完璧だな
ハンパなもの、見せたくないもん
演出家が言ってた
「自分しか持ってないモノ」
…ってわかったのか？そういえば
…にっしっし。さあね
心配は…なさそうだけど
…勝手にさ、王妃を降りてさ
ちょっとしたスキャンダルだったわけでしょ
ね、みんな拍手してくれるかな
もと王妃にも
- あたりまえだろ
- どうかな…
- 俺は拍手するよ
あたりまえだろ
みんな、ギネヴィアの頑張りを知ってる
がんばるだけじゃ…
ダメなこともあるじゃん
今はギネヴィアが誰であるかを
飾る必要なんてないよ
…まあ、ね
あなたに選んでもらったんだもんね
どうかな…
もと王妃に向けての拍手はないかもな
ぎゃー！無慈悲なコトバ！やさしくしてよ！
でも、今のギネヴィアへの称賛は
拍手となって返ってくるさ
そのぉ、その『今の』わたしがさぁ
ちゃんとできてないといけないわけでしょお…？
結果はどうあれ
俺はギネヴィアに拍手を送るよ
あなたは舞台上でなんの役割？
え…木だよ
木は拍手できないでしょお…
そうだ
俺、木だった…
わたし…なにひとつ演じる必要もない
それが本当に嬉しかった
ノワールのために、学園のみんなのために
世界のためにわたしは生きられている
これってすごいことだよ
…そうだな
だから
飾らないありのままのわたしを舞台に上げる
それが一番
みんなに伝わるかなって思うんだ
苦しいことも
ずっとは続かないはずだよって
楽観的かもしれないけど
頑張ったら
報われるんだよって
まだ──…きっとだいじょうぶだよって
…ギネヴィア？
そう信じられる世界にしなきゃ
ちょっと心細いもんね