「なんと情けない！
道化しか下せぬとは！」
「ああっ、貴方は見るに堪えない！」
「名乗り出てその体たらく
目も当てられない！」
「わたしが探すは、黒き楯の冒険を引き継ぐ者！
巨悪を断つ騎士様は何処か！？」
王女は探す
口汚く罵りながら
世界を救う後ろ盾となるべく
奮い立つ勇敢な騎士を
王女自身がその背を任せ合える…
心許せる無二の相手を
そして目を留めた
汚名にまみれ、装束を黒く染め切ってでも
戦場を這いずり続ける不屈の騎士に
「姫、遅くなり申し訳ありません
お助けに参上しました」
「ああ、騎士様
まさか助けに来てくれるなんて」
「自由に憧れ、何もない平穏に退屈していた
こんな身勝手で、ワガママな王女を」
「それはもう遠い昔のこと
今の貴方は誰よりもこの国を想っている」
「そんな貴方を私はお守りしたいのです」
「あなたが隣にいる。それだけでこの困難も
たやすく乗り越えていける気がします」
「ひとつ誓いを立ててもらえますか？」
「なんなりと」
…ぷーっ
…姫
なにを笑って？
あっ、あー…えーと、いいえ、あ～
（演技中に噴き出してンじゃねェー！！
オニーサンが木なのは笑えっけどッッ！！）
………あなたと出会えて
ようやく笑えたみたいなの。わたし
「死ぬことは禁じます」
「飾ることなくお願いします
悪虐の王を討ち果たす力となってください」
「わたしも誓います。常に傍らにあって
あなたとともに行くことを」
「わたしも、あなたも、互いが互いの──」
「後ろ盾として」