お茶には付き合ってくれるのね
あなたのいれたお茶が好きですよ
時間をかけ、手間をかけ
香り立つ瞬間を待っている
その一瞬は
ここでしか味わえませんから
いらっしゃいアーサー、ノワールくん
歓迎はするけれど学園には帰らないわよ
要求を聞こう、義姉さん
繰り返しお願いしていることよ
「もう戦わないで」
それは聞けんな！！
はい終了～
閉店で～す
うわあ！た、頼む！もう１回チャンスをくれー！
俺が悪かったよ義姉さん！！開店してくれ～！
次は総力戦、死にに行くようなものよ
貴方を止める理由…わかるわよね？
…どうしてＧＳをしないの、アーサー？
それでも学園のために身を捧げんとしてる
貴方は歪んでる、そして揺れている…違う？
アーサーが、ＧＳをしていない…？
王家に代々伝わる剣があります
ＧＳをせずとも…
アーサーが卓越した力を持っていることは
誰の目にも明らか。だけど今のままでは…
王は、特定の誰かと絆を結ぼうとしません
この学園のすべてを守りたいというお人ですから
それは、本当の理由ですか…？
キラーズなしでバルバロイと戦い続けて──
………
学園が貴方になにかしてくれた？
その博愛は与えられた者が喰らうだけ
愛は返って来ずに、貴方だけが傷つき続ける
拙きを学園にかくまい、弱きを守り
周囲への気配りと徒労ばかりで
傷つき続けたその笑顔の裏で貴方は
見返りを求められるような命じゃないだろう？
俺は、産まれた時から
…愛しい貴方の長生きを願うのが
そんなにおかしい…？
父から遺されたものが重すぎて
今にも潰されてしまいそうだ
学園に溢れる笑顔が見たいんだよ
それをせめてもの慰めにしたっていいだろう？
そのかけがえのない思い出は必ずや
皆が未来まで戦い抜く礎となるはずだ
そうして王として生きるんだ
己を尊重する必要はないんだよ
…！
…そう、貴方はそういう人よね
私の言葉なんてどうでも…
『楽園』なんてどこにもないよ、義姉さん
だから力を尽くす
義姉さんが安心して座っていられる
そんな居場所にできるように
- 『楽園』…？
- 王を守るのが騎士の務めです
- アーサーには休んでいてもらおう
『楽園』…？
言葉ほど楽しい場所ではありませんよ
恐らくですが
その存在は間もなく知ることになるでしょう
貴方はまず来たる戦いに目を向けていてください
王を守るのが騎士の務めです
アーサーは円卓が守ります
…信じていいの？ノワールくん
必ず
円卓の騎士に任せてもらって
アーサーには休んでいてもらおう
ノワール～
今が働き盛りだというのに
そう思い込んでいる人ほど
心身を壊しがちなんですよ、アーサー様
ひとつ約束して
…次の戦いには出ないで
アーサー様…
………わかった、約束しよう
おいしいお茶が入ったの
一息ついたら、そうしたらアーサー…
私を学園へ連れて行って？