夢に焦がれる者は
喜んでその身を理想に捧げる
ローマの兵は望んでその身を穢している
不眠の軍勢バルバロイとして
ユーサーに、埋葬さえ許されず消えた
ローマ国民の無念を晴らすべくして
それは、お前の妄執じゃないのか…！
かつてブリテンに住んでいたローマ人が
バルバロイに喰われ忘れ去られたこと──
バルバロイを差し向けたのは
ユーサーであること──
奴こそがＧＳの独占を企み
ブリテンからローマ人を排除せんとしたこと──
その真実のすべてが忘却されたのをいいことに
歴史を隠蔽しブリテンの支配権を握ったこと──
- すべてはお前の妄想だ
- そんなのでっちあげだ
- 今のログレスとは関係ない
すべてはお前の妄想だ…！
それならどれだけいいだろうな
そうであって欲しいと
何度も願ったよ
ログレスを悪とするための
でっちあげだ…！
根も葉もないことであるというのか？
そなたが知らないことだからか？
他者の言葉に耳を傾ける努力を
したほうがいいぞ？継承者
今のログレスとは関係ない
アーサーはローマと友好を結んでいた…！
かつてのローマ人の屍の上に成り立った学園だ
無関係なフリをしてもらっては困る
当事者意識を持ってもらわねば困るよ
ああ。ならば継承者
今こそわかった、なるほどそうか
そなたこそ
余のトモダチだ
トモダチ…？
継承者しか覚えていられぬ
聖遺物化したすべての者を
誰に語ることも出来ず
口にすれば首を傾げられる
忘却された者の悲しみ、残された者の虚しさ
それを唯一覚えていなければならぬ孤独
そのすべてを背負い、世界を救わんとする
余とそなた、同じだ、同じだ、同じことを思い
他者では理解出来ぬ苦しみを共有し合う
おトモダチとはそういうものだろう？
ノワール？
魔女…！？
…しかし、いや、この気配は…
揺らぎ揺られて野望の始末
魔なる酒瓶呑み干して
濁水の大釜
情にほだされこの末路
………待ちわびたよ
夢に焦がれて焔へ投身
そういう愛もあるものね
魔女、
『モルガン』………！？
ノワールくん
！？
アーサーをお願いね
この瞬間を待っていた
…死ぬには、良い天気ね
施して得る物なし
それでも献身的なあの人を
ワタシたちは待っていたのにね
ごめんなさい
愛しき妹たち
大姉様
あなたは楽園を諦めるのね
であればワタシたちは──
ノワールくん
わたしはもう…うまく動けないから
些細なことでしか学園の力になれない
…モルガン、先生？
抗うすべ、選び抜く道、その先の平和に…
ノワールくん──貴方の武器が要るわ
ふんばってね
どんなに辛いことがあっても
…………わ、た、し
聖杯はいただいていく
暴れ馬をギネヴィアが滅多打ちにしてくれた
そのおかげで容易に手にできた
…わたし
余は神となるよ、ギネヴィア
目が覚めるような
平和な世界にするために
やくそく、したのに
また会いに来るよ、ギネヴィア
眠れぬ夜を過ごして欲しいな
まもるって、エレインのこと
みんなのこと…
役立たずと言われるわけだ、アロンダイト
キラーズになっても人間に守られるなど
周りを傷つけ、己は無傷
良い御身分だ