心が落ち着くわね
断捨離を終えたあと
人事を尽くしたあと
ことの終わりを待つ時間
…ご一緒にお茶でもどう？
義姉さんはどこにいる
どこにもいないわ
皆の
お茶をすするのは
どういうときかしら？
…
食事の終わり際、でしょうね
…笑顔の絶えないモルガン先生は
諦めの悪いオンナでした
カリバーンの封が緩み始めた当初から
夜な夜な翼を広げてブリテンをまわりました
湖からバルバロイ発生の兆候があれば
その穢れを自分の中に封じ込め続けたのです
バルバロイの増殖速度に比べれば焼け石に水
なぜそのような暴挙を？
あなたはいったい何者なの！？
なんで、そこまでする必要が…？
私が誰か？
果たして初めから魔女だったのか？
それはもはや語る由なき些事
教えてあげなあい
…ですが、彼女の稼いだ時間があったからこそ
私たちは継承者に巡り合えました
穢れを取り込む過程で産まれ堕ちた姉妹たちは
自我を持ち、独自に行動し始めました
モルガン先生の、目的…？
楽園なんてないよ、義姉さん
貴方が
辿り着ける
「わたしと同じになれば」…？
ですが、そうはならなかった
すべては継承者の劔の選択によって
ランスロットは人としての道を歩み
俺が楽園へ進む道は遠ざけられた
継承者…
貴方があんな浅ましいお飾りを選ぶから
みんながなに言ってんだかさっぱりだけど
とりあえず失礼しちゃうわね
…あのとき俺が別の誰かをＧＳしていたら
なにかが変わったのか…？
変わったかもしれません
けれどあなたは彼女を選んだ
そして世界はそれを受け入れた
その結果を誇るべきでしょう
『浅ましいお飾り』など選んでいない
そう
別の因果で異なる綻びがあろうとも
今のあなたは
あなたの選択に自信をもってよいのです
先輩が選択を誤ったと誰が決められますか？
他者の選択に左右されるあなたこそ浅ましいです
そう。つねにモルガンは迷いのなかだったわ
モルガン当初の目的
『アーサーを永遠の楽園へと連れていく』か
それともくだらない情にほだされ
『アーサーの学園を守り、彼の死を見守る』か
…義姉さんは、後者を選んでくれた
だから当初の目的を負う姉妹たちは
モルガンを貪り、彼女の意志を消化した
──濁水の大釜より 来たれ
蟲喰いの貴方へ憐憫を込めて
魔女の穢れはモルガンのなかで増幅され
ブリテン中のバルバロイに共鳴するほどです…！
恐らく聖杯も穢され、魔女が取り込んでいる
この地すべてを呑み込むまで止まらない…！
島中でバルバロイが増えまくってんのは
このせいかよ…！？
我らがＧＳで互いの力を高め合うのと同様に
無数のバルバロイが共鳴…力を掛け合わせている
キラーズ以上の力をもつ
無数の個体が産まれる…！これでは──
焼き尽くすまでだ
魔女の翼も腐った果実も
分かたれていた魔女がひとつとなった
今の私にできることは、もうこれだけ
バルバロイとして世界を喰らい尽くし
アーサー…楽園にて貴方の抜け殻を愛でる
幻想に溺れて 水底で腐れ