ギネヴィアの願いに応じ
ノワールは彼女と剣の祭壇を訪れる
覚悟を決めたはずのギネヴィアだが
行き場のない感情が溢れ、遂には倒れてしまう
ギネヴィアを連れて行かないで、ギネマウアに
そう懇願されますます選択を迷うノワール
一方、魔女の力と知識を手にしたルーシャスは
未だ目立った動きを見せないでいた
やっとお揃いだね…ローラ
儚き夢だな、愛しき小鳥
君が与えてくれたんだよ
妹を守る力も、妹と同じ居場所も
武器として利用してやっただけだ
ふふ…私もそう
利用させてやっただけ
クク…口に出してはみるものの
愛などついぞ理解し得なかったよ
愛だ絆だと互いを擦り
削り合ったログレスはどうなった？
まもなくバルバロイに呑まれんとしている
愛する者のために版図を拡げ続けたローマ本国も
大陸で腐敗と衰退の一途を辿っている
その点バルバロイは潔いじゃないか
使える者は取り込み増殖し
使えぬ者は喰らって栄養とする
人がバルバロイという強靭な種と混ざり合えれば
愛や生死、飢餓や病という概念を超越できる
人間どもが騙る綺麗事──
その
ルーシャスくんの夢は本当にそれなの？
聖杯なしに君の想いはそれで果たされるの？
魔女の知を得てわかったよ
聖杯は認められた者にしか使えぬ代物だ
願望機としても万能とは言えぬのかもしれん
継承者の劔が力を宿したところで大勢は揺らがぬ
君の夢を聞かせてよ、いいでしょ？
そなたが知る必要はない
神様には
信徒と経典が必要だよ
…バルバロイの胃袋を掴むのだ
ふふ。なにそれ
誰かに料理でも振る舞うの？
間もなく余らが辿り着くは歴史の分岐点
世界の自浄…すなわち『淘汰』が起こる
継承者の登場と成熟、聖杯出現、聖域化の前触れ
世界に蓄えられた記憶が閾値を超える
その予兆こそ
あの不気味な空だ
淘汰の渦から現れるはバルバロイの中心点
魔女を喰った余の力で、それと同化を果たす
…魔女に従うフリをしながら姉妹たちを削って
モルガンを疲弊させた苦労が報われるね
さすればな、どうなると思う？
奴らが過去に胃袋へ呑み込んだ人々の存在…
そのすべて手中に収めることができるのだ
バルバロイが喰らった者たち、蓄えたその記憶…
中心点からそれらに接続することが可能となる
………ユーサーに奪われたローマの民も
虐殺で喰われたロンディニウムの人たちも…！？
余がみなの存在を担えば、ともにいられる
余がみなの存在を覚え続けてやれば、未来永劫な
それが「ローマによる平和」…
すべての道がルーシャスくんに通じて──
ルーシャスくんが
バルバロイの中心点としてずっと
ずっとひとりで
みんなの存在を担っていくの…？
なあに、慣れっこだ
…お母様にも会えるね
…忘れよ
恥ずべき感慨であった
うん。すぐに忘れるよ
だけど小鳥は
君の隣で休むから
フレンお姉様
ほかのお姉様たちはどこに？
…みんな円卓の騎士に倒されちゃった
私にはもう…フレンお姉様しか
ローラ、忘れる前に
最後にひとつお願いしてもいい？
忘れる前みたく、呼んでほしいの