聖杯探索の隊を任された
ノワールとランスロット
『聖杯城の巫女』フィエナとガラハッドの
協力を得て、聖杯探索に乗り出すことになる
だが、仲間であった銀卓騎士団に裏切られた
ガラハッドの心中は穏やかではなかった
奇跡の探索隊としては
こぢんまりとしてるね
今やログレスの周りはローマ軍だらけだ
大部隊を動かして敵に察知されるのは避けたい
ローマの包囲網を抜けるには
少数精鋭部隊が吉、ってことね
…あの、大柄で物静かな人と
変に気取っている人は…？
ヴォールスと
パーシヴァルか
それだけで誰のことかわかるんだ…
聖杯探索班を全員固めて動かすわけにはいかない
…正直な話をすれば──
………ガラハッドたちを信用し切れていない
ということだな？
…ローマや魔女の動きを探るためにも
まずは俺たちが先遣隊として動こうというわけだ
いいよ見ててよわかったよっ
奇跡を呼びこんであげるから
『聖杯城の巫女』の名に懸けて
ガラハッドからは聞いていたが
『聖杯城の巫女』って、そもそも…？
私は「聖杯へ導く妖精」の巫女
つまり、妖精の力の受け皿として育てられたの
妖精の力の受け皿？
覚えてる？聖杯城の近くに住んでたころ
私、よくノワールの故郷の湖で遊んでた
- もちろん覚えてるさ
- そうだっけ…？
もちろん覚えてるさ
俺が馬に乗って城を出ようとすると
目ざとく見つけて馬の背中に飛び乗ってきたな
いつも黙って出ていこうとするから
ずっと見張ってたの
ディナタンも喜んでたな
あの頃は楽しかった
そうだっけ…？
ひどーい！
意地悪すると、また湖に突き落とすからね！？
じょ、冗談だよ
忘れるわけないだろ
（突き落とされたのか…？）
私が湖に訪れていたのも
巫女の役目のためなの
妖精が加護を施した湖に、小さい頃から身を浸し
疑似的な妖精の力…
「聖杯へ導く妖精」の力がフィエナにもある…？
そう！つまり！
フィエナちゃんはマジ妖精ってこと！
…万一
妖精がいなくなってもいいようにな
ま、まあ、そういったときの
保険みたいな役割もあるよね
以前、聖杯の行方を聞いたとき
なぜそれを教えようとしなかった？
ペレス王に止められてたの
ログレスに協力するか否かは
彼らの動向を見極めてからだ、って
バルバロイを根絶するには聖杯が必要だ
それはペレス王だってわかってるはずなのに
ログレスの連れて来たルーシャスが裏切った
お爺様は間違った判断をしていない
- どうして助けてくれるんだ？
- ルーシャスに裏切られるなんて
じゃあ、どうしてガラハッドは
助けてくれる気になったんだ？
助けるつもりはない
お爺様とガラハッドは同じ気持ちだ
だけど、お爺様の薬草採集を
手伝ってくれたことには感謝もしているから
ルーシャスの裏切りは
ログレスにとっても想定外だ
そうだろう
そう思いたい
想定していて止められなかったのなら
お前たちは手の施しようもないほど愚かだ
あの場でお爺様が手の内を明かさなかったのは
結果として正解だったと言っているんだ
…聖杯城の巫女の役目は、ふたつ
ひとつは、来たるべきときが来たさいに
聖杯探索の指針となること
だからせめて私の一世一代のお役目
果たしてみたいと思ってるの
おじい様が唯一遺してくれた
私の生きる道だから
聖杯に縋ろうとする
俺たちが言うことではないかもしれないが
与えられた道以外の生きかただってある
どうせならミラクル素敵な生きかたをしてみたい
うんっ、フィエナちゃんマジ妖精だからねっ！
姉上、聖杯城の巫女の役目…
『ふたつ』とは初耳です、ふたつ目とは…？
ふふっ、それはヒミツ！
あまりにも奇跡的だからね！
姉上、やはりガラハッドは賛成できな…
さあっ、奇跡を求めてゴー！