釣れませんよ、王は
さっさとやったら
ハドリアヌス・ウォールが逃走を許さないわ
あなたたちが取れる選択肢は待つことだけ
王妃もどきに
利用価値なんてないでしょ
ノワール卿が放っておかぬわ
生死をともにした級友を
どうかしら
宮廷魔術師風情
代わりはいくらでも
あなたが本当に『宮廷魔術師
買いかぶられましても
アステラ
この…！！
オーウェン
ひと思いにやんなさいよ！
大人しくしてて
ノワールを悲しませたくないわ
『父なる彼』とやらに恩返しするとか
そんなこと言ってたわね…！それ誰よ…！！
ノワールとランスロットのために
なにする気なの！
意味わかんない！
こんなことする必要あるの！？
………唯一の、穢れぬ誓いよ
家族を守りたい
…バルバロイに下らねばできぬことですか
かつて妖精と接したこの城が行うべきことですか
責務に一生を捧げんとしていたこの空虚な家に
家族を与えてくだすったのが『父なる彼』よ
『父なる彼』は一命を懸けて
妖かしの精神を守らんとした高潔なる魂
『父なる彼』が宿してくだすった我が家族を…
儂の孤独を癒してくれた家族を…儂が守らねば
…『父』とやらが大切な人だってのは理解したわ
その気持ちはわからないでもないしね、でも…！
そして今、その『父』の遺児が
脚を引きずりながら滅びへの道を歩んでいる
救済者を救うのは誰だ？
己すら見捨て、禊に生を使わんとする彼らを
誰が救う？誰が思いやれる？誰が？誰が！誰が！
…『父』の、遺児…って、まさか
なにがあろうと子らが生き延びる道を望むのが
親というもの、家族というもの、違うか？
本人に憎まれようと
世間に疎まれようと
…そういう、ものでしょうね
だけどねえ
親の心子知らずってヤツでしょ
言ってやりなさいよ、なにがしたくて
なにが理由でこんな凶行に走ってるのかを
性根まで狂っちゃったわけじゃないでしょう
我らは、足がかりでなければならないの
我ら一同、好ましくない道を歩む者として
彼らの道を阻む必要があるのよ
…ますます、ますますわかんない
あなたたち歪んでるの？本当に穢れてるわけ？
転移の予兆があれば即座に首をはねよう
マーリン…そなたの生死に興味はないのでな
ではお早く
胴から斬り離されては
死に急ぎたいのなら、舌でも噛み切る？
出来まい？
そなたは決して命を投げださぬ
どういうこと…？
マーリンなくば、奇跡は起き得ぬ