最も強き者ゆえに
本当の孤独を知らぬ
すべては衰えゆくもの
歳を重ね、衰え、ひとりと成り果てたとき
必ず悔やむ…誰かと生きていきたかったと
寄る辺なき一千年の道程のなかで
ひとり孤独に負けるときが来ぬと言い切れるか？
………もっともだ
ランスロット…？
だがなにを選べば後悔しないかなど
選ぶ前からわかるものではないのも事実
だから今、俺が今、俺たちが今
最も良いと信じられる道を選択するしかない
………いつでも黄金の道へ踏み出すべきだ
我が『父』の剣は引き継がれた
我が『弟』へ誓いを立てた
すべては遺っていく
なにひとつ喪われはしない
- いいんだな、ランスロット
- だめだ、ランスロット
いいんだな、ランスロット…！
お前が生きていく世界
それが最良だ
師匠と同じ気持ちだ
お前の幸せを願っている
だめだ、ランスロット…！
俺はどこにもいかない、ノワール
師匠と一緒だ
俺の心はお前とともに
ペレス王
貴方に俺は救えない
………真なる騎士よ
誇りや誉れでは埋め合わせられぬ
己の弱さと向き合うときが必ず訪れる
…儂はその寂寥さを
父なる彼と妖精ニニアンに癒して頂いた
お爺様…！
当人の意志を無視する
愚行と笑わば笑え
だがそなたらは世界救済という正義に酔うのみ
自己犠牲は文字どおり、未来に悔恨として遺る
ならば…ならばなおさらです、お爺様…！
バルバロイに与することが良き選択ですか！？
『父なる彼』や妖精の願いではないでしょう！？
死に至る病は避けられぬ
世界が死に向かう過程で産まれる病巣
それこそがバルバロイ
いずれ誰もが侵され死する…我らもそうだ
早いか遅いかそれだけのこと
『病』…！？
おじい様、まさか──
そう♪歴史の侵蝕、世界の蟲喰い
侵されれば後戻りは出来ない病──…
………『狂忘症』