アーサーは我らの王となる
その原因のすべては継承者にあるの
………え
バルバロイの、王…って？
ランスロットには円卓の騎士になった頃から
聖杯の加護を強く感じていたわ
その原因はわからないけれど
聖杯に触れたか、聖杯に近しい人がそばにいたか
…と、父さんが、聖杯に触れた父さんが
ランスロットのキラーズになったから…？
そのランスロットが纏った聖杯の加護により
アーサーのバルバロイ因子は抑止されていたの
あのままの均衡状態でいられれば
アーサーがバルバロイにならない未来もあり得た
けれどランスロットはキラーズとなり
その加護の均衡は崩れ去った
わかる？貴方がランスロットを選んだせいで
アーサーのバルバロイ化は決定付けられたの
…俺が、ランスロットをＧＳしたから…！？
ノワールくん
貴方が継承者で本当に良かった♪
…ランス
………！
ランス、いいんだ…！！
モルガン先生、どういうことだよ…！？
ランスロット…え、なん、で………？
「どうして！どうしてッッ！？」
お前が終わらせるんだ…ランス
「どうして！！
父さんを殺したんだ！？」
ランス！！
言ったはずよ、アーサー
そんな親不孝、赦さない
──…ッッ！？
マーリン！？
さよならよ、継承者
ペレス、ライエンス…！？
どうして………！？
母になりたいと願い、叶ったの
魔女姉妹が喰らい、繋がったバルバロイは
死後すべて私のもとへと還る
モーロノエーだけは
ふふ。大喰らいで──
ペレス王とライエンス王…ふたりの王と繋がった
私はそれを呑み、改めて産み出した
人の王を喰らい尽くし
バルバロイの王に捧げるために
モルガン、先生…！？
そんな、嘘だろ………！？
すべての希望を捨てて。どうぞ
この歴史に遺る最後の妖精は今息絶える
聖杯による奇跡はもう起こせない
この魔女モルガンがバルバロイの母となり
穢れを産み落とし、歴史を侵し、この地を堕とす
聴こえるかしら
バルバロイの王の胎動が
俺が、今、死ねば…
それは叶わない………！！
アーサー、貴方…自死はできないわよね？
それはランスロットの覚悟を裏切ることになる
けれどランスロットは
ガウェインくんの目の前でアーサーを殺せる？
己の喪失に鈍感でも
隣人のそれには人一倍敏感
それゆえ異常なほどの滅私の決意で強さを追い
最強騎士へと成り上がったわけだけれど
妖精マーリンを喪った今、聖杯解放すら叶わぬ今
アーサーを殺すことにどれほどの意味があるの？
………アー、サー…！
アーサーを見送らせはしないわ
連れ出すのは私、旅立つのは私たち
『楽園』が待ってるの