看取る覚悟なんて御免なの
モル、ガン…！！
あともどりできる道でもない
モルガン…あなたを止めなかったのは私の落ち度
ですがあなたは揺らいでいた…！
彼は人としての生死を望んでいた！
あなたは彼の意志を捻じ曲げるべきか迷っていた
ですから私は、あなたとともに
アーサーを──
ペレス王の判断には一定の評価をしているの、私
アーサーを殺そうという判断以外はね？
だから姉妹たちもその身を投じ、力を貸した
…「救済者を救うのは誰か」
彼が指した救済者とは
継承者やそのキラーズのことだけれど
私にとっての救済者はアーサーよ
私にとっても、そうです…！
モルガン、私たちの心は、同じであったはず…！
あなたと私──
妖精の里はバルバロイに喰い散らかされ
ニニアンは人と交わり穢れ…言わば諸悪の根源に
私は安息の地を探してさまよった
自らの出自と運命を呪いながら
辿り着いたのは
アーサーの母イグレーヌのもと
そこでやっと見つけた生きる希望
アーサー
私も…乳母としてではあったけれど
家族を持てるのだと感じたわ
幸せとぬくもりを
得ることができるのだと
無条件に愛してくれる誰かがいるというのは
…こんなにも、こんなにも安らぐものなのだと
彼が与えてくれる愛に
応えようとは思わないのですか…！？
貴方と私は違う
貴方はひとりの女としてアーサーと出会った
私は家族として彼と生きて来た
貴方は庇護される立場としてアーサーに愛された
私は庇護する立場として彼を愛し彼に愛された
私はその愛に応えるために穢れたの
これで彼と同じになれた
私──彼と、同じ生きかたをしたいの
ちがう…！彼は死しても学園を愛し続けんとした
笑顔溢れる平和を守るべく死を覚悟した…！！
本人に憎まれようと…
世界に疎まれようと…
それでも子の生き延びる道を望むのが
親というもの、家族というもの、違うかしら？
ねえ教えて、マーリン？
愛する者を護る道
正しいのはどちらの歩みか
貴方のように
無慈悲な死を確定させるべきか
私のように
永遠の楽園を与えるべきか
………アーサーの、選択は…！
答えは明白よね？
己のことなど最もわからないものよ
虚栄、義務、責任…王には抱えるものが多すぎる
でも安心して…もう悩みなど捨てて
だってここは泥濘の底…
妖精を喪ったログレスの者どもは
誰も足を踏み入れられない…私たちだけの愛の園
ここで貴方がバルバロイの王となるまで
じっくりと育てるだけで世界は終わる
いきて。アーサー
不滅の道を往きて
いずれ拓く楽園『アヴァロン』の奥底で
永劫
幸せに穢れて生きて
私が、産みなおしてあげる