ブリテン島 ６世紀 ８月
ブリテン島東部を支配下に置いていた
カレドニアは
その王ライエンスの死によって
混乱をきわめる
さらに黒き怪異、不死の異民族―――
バルバロイは増殖の一途をたどっており
世の乱れと共に出現すると言われる
『聖杯』の行方もいまだ知れず
黒く押し寄せる歴史の波のなか
しばし訪れる安寧のとき
せめて今だけは
私を選ばなければよかったのに
…兄さん？
………夢？
寝ぼけてるの？
- ここは？
- おはよう、ディナタン
…いや――…
ここは…教室か？
授業が終わったのに出てこないから
わざわざさがしにきたんだよ？
起こしちゃかわいそうだと思って
そのままにしておいてあげたんだから
感謝してよね
…ああ、良く寝た
おはよう、ディナタン
おはよう、じゃないわよ！
もうとっくに授業終わってるのに
ごめん、夢を見ていて
いい夢だったのか、悪い夢だったのか
…思い出せない、けれど
世話が焼けるわね
どこまでを夢だと思ってるんだ？
ディナタンを選んだことも夢のつもり？
ブライアンさんたちのことは悲しいけど…
でも、がんばろうね、兄さん
…ああ、そうか、夢じゃないのか
残念ながら夢じゃない
そうね、夢じゃないわ
俺たちはお前の武器にはならなかったが
仲間であることに変わりはない
そうね…それは変わらない
- これからもよろしく
- そうだな、ランスロット
- そうだな、ギネヴィア
これからもよろしく
ギネヴィア、ランスロット
あたりまえよ
ローマを倒して聖杯を手に入れるんだから！
我々の祖国を守るため
一緒に戦おう
そうだな
これからもよろしく、ランスロット
円卓の騎士のひとりとして
継承者の剣となるつもりだ
わ、わたしにも
なにか声かけてよ！
そうだな
これからもよろしく、ギネヴィア
うん！これからは雇い主じゃなくて
仲間のひとりとして協力していくわ
無論、俺たち円卓の騎士も
協力は惜しまない
兄さん、私――
私、兄さんの武器になれて嬉しい
ディナタンもこれからよろしく頼む
私が兄さんを守るね