…来たのね、継承者
…兄さん！
- どうしてだ、ギネヴィア
- ディナタン、無事か！？
- ギネマウアさん、止めてくれ
どうしてだ、ギネヴィア
アーサーの言っていることが
正しいと思ったから
それだけ
…ディナタン、行っていいわよ
ディナタン、無事か！？
私なら大丈夫
少し眠らされてただけだから
ごめんなさいね、ディナタン
どうしても彼に来てもらいたくて
…ディナタン、行っていいわよ
ギネマウアさん！
ギネヴィアを止めてくれ
殿下が決めたことに
私は従うのみです
てめえはそれでいいのかよ
てめえの意志はどこいったんだ？
私が意志をもったところで
殿下を苦しめるだけですから
…ディナタン、行っていいわよ
ギネヴィアさん…
継承者とキラーズをバラバラにして倒しても
それじゃ意味がない
別々に殺してしまってもよかったけど
それじゃ…わたしの気持ちがすまないから
アーサーとなにを話したんだ、ギネヴィア
伝説や妖精、ＧＳに頼らず
人として生きていくってアーサーは言ったの
なんだよそれ…どういうことだよ
学園で皆にＧＳを学ばせてバルバロイと戦う力を
持てと皆に教えたのは、アーサーじゃないか！
それに、キミだってギネマウアさんと…！
うん。そうね…そうだった
でもアーサーは継承者が血を穢すものを
自分の武器に選んだときに考えが変わったって
血を穢すもの…？
今ある伝説は間違ってるかもしれない
伝説に縋る世界は間違ってるかもしれない
ならログレスを…ブリテンを作り直そうって
くだらない伝説に支配されず
のちの世界で自分が伝説と呼ばれる
そういう世界にしたいって
ブリテンを…作り直す？
――ずっと思ってた
どうしてわたしがこんな目に遭うの？って
わたしのたいせつなもの、思い出、家族
みんな喰い荒らされた
生きるために、たったひとり残った家族を
お姉ちゃんを武器にした
なんで、どうしてって、ずっと思い続けて
でも答えは出なくて
でも…
もし、もっと前から間違っていたのなら？
世界が間違っていたから
だから全部がこうなったんだとしたら？
ギネヴィア…？
どうしてバルバロイは
攻め込んだんだろう
ブリテンがバルバロイを排除しようと
したから攻めてきた
ブリテンが排除しようとしなかったら？
でも排除しようとしたのはどうして？
誰も、なにも疑問に思わなかった
…だって、決まっていたから
バルバロイが
継承者がバルバロイという
世界は伝説に支配されている。だから…
キャメリアードの末路は
すべてはＧＳを正しいとする世界のために
ＧＳを前提とした伝説を
カリバーン――ティルフィングが
キャメリアードの力を吸い上げても
誰もなにも言わない。見てみぬふり
それは…
そんなの…馬鹿げてるでしょ
そんな世界が間違っているなら――
ううん、間違っていてほしい
だからわたしたちはＧＳした人たちをすべて消す
最後にわたしたちも消える
すべてを消したあとに新しい…
正しい世界を作るの。それがアーサーの意思
アーサーならやってくれる
わたしは…そのために戦うって決めた
バカなことはやめてくれ、ギネヴィア！
ねぇ、ノワール
わたしはもう、選んだの
――あなたはどうする？