ここに、いたのか
ディナタン
…ごめんね、兄さん
ディナタン、知ってたのか
私たちが兄妹じゃなかったってこと？
私…それをあの森に
教えてもらった気がする
忘れてたけど、少しずつ思い出してきた
アーサー様にもこのあいだ教えてもらったの
…だから様子がおかしかったのか
いっぱい夢を見て
いろんなことがわかんなくなって
どれが本当だったのか
なにが夢なのか
もしかしたら誰かの記憶なのか
ぜんぶわかんなくなっちゃった
どうして言ってくれなかったんだ
だって…だって、夢が本当だったら…
兄さんと兄妹じゃなくなっちゃうから
あんな夢見ちゃいけないから
私たちあの森にずっといたよね
そのあと時間の流れが違うって聞いて
ああ、やっぱりそうだったんだって
夢じゃなかったんだって
でも森を出たら忘れちゃって
兄さんは覚えてないんだよね
…ああ
妖精と人間は恋をしちゃいけないんだって
そう森に教えてもらったの
アーサー様のお父さんと妖精のあいだに
生まれた私は妖精？人間？
どっちでもディナタンは
ディナタンのままだ
そうかなぁ…
ギネヴィアさんが私の歌が好きだって
私の歌の力は妖精の力だったんだね
それから…ねえ、兄さん
私たち兄妹でよかった？
- よかった
- わからない
生まれがどうとか関係ない
ディナタンが妹でよかった
ディナタンは
俺の妹でなきゃダメだ
そっか、私も兄さんが兄さんでよかった
わからない
ディナタンが妹じゃないなんて考えられない
ディナタンは妹であってほしい
そんな気持ちもあったけど
今は…わからない
私も同じだよ、兄さん
兄妹だったら――
妖精と人間と同じだよね、そんなの
どういう意味だ…？
…私、これからもがんばるから
妹として
がんばってアーサー様を倒そうね
兄さん