こいつがアーサーのヤロウについた時点で
こうなることはわかってたはずだ
こいつらもそれを承知でここまで来た
俺たちは止まってる場合じゃねえ
それは、そうだけど…！
モルくん…少し、待ちましょう
せめて、お祈りの時間だけでも
チッ…
モルくん…
兄さんはおせっかいな奴でさ
学園でひとりぼっちの奴がいると
よく声をかけに行ってた
一緒にメシでも食おうぜって
食堂まで連れてきたりして
「ヒーローたるもの
誰かをひとりぼっちにしたりしないんだ」って
ガレス…
…バカだよ、みんな――…
ディナタン
ずいぶん前、私がした忠告を覚えてる？
…「己の至らなさを知れ」
「私が選ばれれば平和への足を引っ張る」──
けれどお前はじゅうぶんすぎるほどに戦った
もう…私はお前をみくびらないわ
だからといって
多くが惑わされたこの運命を肯定できもしない
せめてお前だけは、惑わずに
…はい
「学園でだいじな人と笑顔で過ごせる日々こそが
なによりもかけがえなく、幸せなことだ」
前に、アーサーが言っていたんだ
そんな日々を守るために力を貸してほしいって
…やっぱり、ボクはあの日のアーサーが
嘘を言っていたとは今でも思えない
…あぁ
なにか――なにかが掛け違えて
どこかに綻びが生まれてしまった
繕いきれない綻びが
なにかって？
それは…わからない。けど、だからといって
アーサーを許すわけにはいかない
だから俺は…
継承者としてアーサーを討つ
そして…アーサーが一度は信じた道を
俺たちの手で成し遂げるんだ
…うん
名残惜しいのもわかるが
そろそろ別れを済ますべきではないか
アーサーも待ち侘びていよう
行きなよ、ノワール
この砦に残った敵は引き受けるわ
褒められた選択じゃなかった
ガウェインの肩をもつ気はさらさらないけど──
喰わせはしないよ
必ず連れて帰りましょう
そうして──
レクイエムくらい、奏でさせてよ