1章/メイン/D0210_ア―サー対峙

王と向かい合って

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【(ナレーション)】
アーサーとの決着をつけるため
ノワールたちはカムランの丘へ向かう
【(ナレーション)】
その道中では、アーサーをひとりにしたくない
ガウェインとラグネルが一行を待ち受けていた
【(ナレーション)】
激しい戦いの末、実の兄を討つガレス
そしてラグネルもまたトリスタンらが討つ
【(ナレーション)】
アーサーとの決戦を目前に、マルディサントは
ノワールの選択に怒りをぶつける
【(ナレーション)】
ディナタンはその気持ちに感謝しつつも
ノワールと進む決意を改めて示したのだった
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【アーサー】
誰ひとりとして継承者とキラーズに
キズをつけることもできないとはな
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【アーサー】
ランスロットとギネヴィア…
選ばれなかったことに理由はある、か
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【アーサー】
そしてガウェインも…
しかしガウェインはわかって逝った
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【ノワール】
アーサー…どうしてこんな
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【アーサー】
どうしてか
俺にも聞きたいことがあるよ
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【アーサー】
どうしてお前はディナタンを選んだんだ?
我が姉を
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【ノワール】
…姉だと知っていたのか
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【アーサー】
そうだな、妖精の森が教えてくれたよ
我が父の過ち、妖精の願い。そのすべてを
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【ディナタン】
妖精の、願い…
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【アーサー】
ニニアンは妖精として世界を憂いていた
だが、それ以上に母であった
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【アーサー】
彼女が遺した消えぬ過ち
それは正さなければならない
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【ディナタン】
…ユーサーとニニアンの交わりの証
この、私を…?
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【アーサー】
正すべきはお前だけではない
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【アーサー】
ユーサーは我が母イグレーヌと結婚したこと…
──そして俺が産まれたことを悔やんだ
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【アーサー】
それによりイグレーヌは
妖精を怨んで怨んで、死んだ
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【アーサー】
ディナタン…お前だけではない
俺という存在も伝説が産んだ過ちがひとつ
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【アーサー】
バルバロイを滅するにはGS(ゲシュタルト・シフト)が不可欠であり
GSのせいで聖遺物化や忘却を避けられない世界
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【アーサー】
そのいたちごっこもまた同じく
伝説が産んだ過ち
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【アーサー】
ニニアンの…母としての心もわからないではない
(みそぎ)を果たさんとしたことも
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【ノワール】
禊…?
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【アーサー】
だがこれ以上
望まれぬ子が産まれぬためにも
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【アーサー】
弾劾すべきなのだ
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【アーサー】
不確かな伝説にすがり
刹那的な平穏を求めることを
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【アーサー】
忘却が罪となる世界を
喪失を余儀なくされる歴史を
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【アーサー】
GSに頼り、妖かしにほだされ
犠牲の上に遺される記憶に価値があるのかと
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【アーサー】
いちばん大切な存在に献身を強いようとする
その選択になんの疑問も抱かないのかと
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【ノワール】
なにを言って――…
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【アーサー】
そうだ、お前はなにも知らない
なにも知らないから、美しい伝説を愛せる
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【ディナタン】
あなたがしなければならないことですか…!?
あなたが愛した学び舎を壊してまで!
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【アーサー】
俺でなくてはならないんだ
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【アーサー】
妖精ニニアンと交わった父ユーサーが
俺に遺した血の(けが)れ──呪いがあればこそ
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【アーサー】
その呪いが俺を蝕むその前にせめて…
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【ノワール】
ユーサーが遺した、呪い──…?
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【アーサー】
ノワール…お前が選んだこの運命で
それを語る由はない
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【アーサー】
継承させはしない
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【アーサー】
誰かの犠牲と伝承で
成り立つ世界を
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