間違えたのは誰だった？
どうして禁忌とされているのか
なぜあなたはわたしを選ばなかったの
全部やり直し
俺を選ばなかったな、ノワール
わたしを選ばなかったわね、ノワール
私が選ばれたのが間違いだっていうの？
ううん、私が選んだの、この世界を
兄さんが選んだんじゃない
私も選んだの、兄さんを
そうね、それでよかったと
わたしは思っていたわ
ふたりとも大好きだったから
ノワールの選択は間違っていない
さすがは弟弟子だ
ディナタンもよく頑張った
お前は嘘をついている
…嘘なんかじゃない
お前は過ちに目をつぶり
ノワールに身を任せた
間違いだったのかもしれません
ディナタン…？
妖かしこそがなせる業だ
かの森での誘い──その出来事は
なんの話を………？
ノワール、お前が選びさえしなければ──
過ちの末に産み落とされた忌み子を
王の穢れ、世の破滅…
それを呼び寄せる一因こそがディナタンだ
私に責があるのかもしれません
でも──
人ならざるものに依存し
のさばらせる歴史など負の遺産でしかない…！
………だとしても
伝説には語り継がれてきた理由がある
俺たちには未来で戦う武器が要る
隣人に戦いを強いることない世界が始まる
誰もが望む未来だとは思わないか？
助けられてきたんだ
騎士たちに宿る伝説の武器に
継承者の力は家族を守る力をくれた
消えゆく家族を遺す手段をくれた
兄さん………
今まで戦ってきた人たちを…
振るわれてきた武器のことを忘れてはいけない
…そういった大義名分に踊らされて
戦い続けねばらない呪いを引きずるつもりか？
だから伝説が必要なんだ
過ちを正そうと戦った人たちの歴史と伝説
それは再び過ちを繰り返さないための武器になる
過ち自体を消してしまえば
俺たちは省みることすらできない
──人は必ず間違える。だから
………超常たる妖精の血は世界を歪ませる
過ぎたる力は多くを狂わせる
俺やディナタンのように伝説に惑わされ
祝福されぬ子が産まれる世界など…！
だけど──
一千年先の未来まで遺してはならない
俺たちのような存在は！
ノワールがお前を聖遺物化させるまで振るうか
俺がここで引導を渡すか、ふたつにひとつだ！！
でも、私
どちらにせよ避けられない
ディナタン…お前が喪失する未来は。ならば──
でも私
兄さんといられて、よかった
その気持ちに
嘘はつけませんから