皇太子殿下、お願いがあるのよ
なんだ、申してみよ
ロンディニウムの住人たちの記憶を
いただかせてもらっていいかしら♪
なんだと…！？
もうすぐハロウィンでしょう？
魔女は力が増えちゃうのよね
そのぶん、お腹が空いちゃって
たくさんの人間の記憶を取り込まないと
皇太子殿下と私たちが同盟関係にあるなら
私たちはロンディニウムの人たちを
自由にしてもいいわよね？
いいわけがなかろう！
なにを驚くことがあるの？
元より行おうとしていたことでしょう
手を下すのはあくまで余だ
そなたたちの胃袋に落ちたものを
余が覗けなければ意味がない
ハラを割るのは
敵が共通しているときだけよ
裏切るつもりか
魔女は魔女
人は人、ブリテンはブリテン、ローマはローマ
もともと信用などしてはいなかったが
そなたたちがそのつもりなら――…
なにっ！？
あらあら、威勢のいいこと
私たちが裏切っても
斬り捨てればいいとでも考えてらした？
教えてあげたでしょ？
魔女の力、増幅されてるって
計算が違っちゃってごめんなさいねえ
もっとも…増幅されていなかったとしても
倒されることなんてありませんけど
ＧＳも済ませていないあなたたちなんかに
…チィッ！
この契約は
もともと対等ではなかったのよ
言わせておけば…！
でも、これだと
私たちがあまりに横暴よね
評判が悪いと
次のクライアントがついてくれなくなっちゃう
ひとつ条件を出してあげるわ
条件？
継承者とそのキラーズをここに呼んで
ノワールと…その妹をか？
ヤツらを連れてくるだけなら
余の手など必要ないのではないか？
それがねえ…
あの学園にはちょっとしたお邪魔虫がいるの
ふたりを連れてきたら
ロンディニウムに手は出さないわ
できない場合は皇太子殿下も
無事ではすまないかもしれませんね
急いだほうがいいわよ
さあさあ、急ぎなさいな！
そんな…ロンディニウムの人たちが…
ルーシャス様が…！