元サブ/G/12月11日/【ローマ・ルーシャスとフレン・なきごえ】

なきごえ

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【フレン】
お揃いが良いとねだられたの、よく
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【フレン】
私は違うものがいいと言ったら
あの子は泣いた
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【フレン】
だから結構仕方なく…合わせてたところあったの
この子は私がいなきゃだめなんだと思ってた
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【フレン】
なのに、「はじめまして」…だあって
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【ルーシャス】
…母上もそうだったよ
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【フレン】

ルーシャスくんの、お母様?
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【ルーシャス】
幼きころ、ローマの所有物であったブリテンで
我が家族はバルバロイに貪られた
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【ルーシャス】
ユーサーが仕向けたバルバロイだ
ブリテンにいたローマ人は一族郎党喰われたよ
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【ルーシャス】
余は母上と大陸に逃げ延びてね
命からがらだ、肝を冷やしたよ
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【ルーシャス】
だが日に日に
母上はおかしくなっていった
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【ルーシャス】
徐々に、だが確実に
余のことを忘れていくんだ…まいったよ
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【フレン】
…お母様のこと
好きだったんだ?
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【ルーシャス】
いいや?むしろ憎らしかったよ
幼き余のことを放り眠りにつく女…母親失格だ
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【フレン】
好きだったんだよ。きっと
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【ルーシャス】
しまいには
息子を喰らおうとする母親をか?
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【フレン】
…お母様は、どうなったの
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【ルーシャス】
今も息災だよ
ローマ本国の監獄奥深くでな
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【ルーシャス】
斬っても打っても殺せぬ化け物(バルバロイ)になり果てたのだ
当時のローマでは打つ手なしだったのでな
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【ルーシャス】
いくらローマの兵が優秀とはいえ手を焼いていた
我が母ながら申し訳ない限りだ
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【フレン】
そんな…ルーシャスくん、君はもしかして──
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【ルーシャス】
バルバロイに侵された者が至る先は様々だ
記憶をすべて失い、獣になり果てる者のほか…
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【ルーシャス】
稀に自我を保ち
バルバロイと共生できる者もいる
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【ルーシャス】
ライエンスが確かそうであったか…
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【ルーシャス】
バルバロイの悪意と同調できたものは自我を保ち
その力を行使できるのかもしれんな
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【フレン】
勉強家だね、ルーシャスくん
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【ルーシャス】
そなたの妹も侵蝕が進み過ぎた
傷を縫う代わりにバルバロイは記憶を喰らい…
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【フレン】
私はただ、一緒にいる
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【ルーシャス】
妹の抜け殻を愛でるか
つくづく理解に苦しむな
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【ルーシャス】
ヴェルナルスにも聞いてみたかったものだ
奴が愚直に信じ続けた愛国心、興味深くはあった
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【ルーシャス】
愛も絆も所詮は言葉。妄想の産物であろう?
不完全で、(もろ)く、移ろいやすく、信じるに足らぬ
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【ルーシャス】
ならばあまねく存在を繋げてひとつにする…
そんな神たる所業が必要だとは思わんか?
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【フレン】
…それを成し遂げたあと
神様はひとりぼっち?
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【ルーシャス】
退屈にはなるだろうな
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【フレン】
一緒にいてあげようか、ルーシャスくん
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【ルーシャス】
理解できんな、なぜそうなる?
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【フレン】
わかりたいと思ったから
君のこと
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【ルーシャス】
…神を理解しようとは奇特なことだ
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