私へ公務を丸投げしていたのが
まさかこのためとはな
引き継ぎはバッチリだったろう？
足らないものだらけだ
伝えられることは伝えたつもりだが…
足らぬな
貴公と生きる時間が
………不出来な義弟で
まったくだ
…ガウェインには？
ほかの生徒と同様に
…「知らぬ間に療養の旅に出た」などと伝えて
納得してくれるかどうか
出そうだろう？
自由気ままにフラフラと
- なにも知らせずにいるのは残酷だ
- 真実を伝えないのも優しさかも
…なにも知らせずにいるのは残酷だ
いつか帰って来るかもしれない
どこかで生きているかもしれないと
…そう信じることが
救いになることもある
お爺様もきっと、そう考えていたんだ
真実を伝えないのも優しさかもしれない
師匠もそうだったな
俺たちは振り回されもしたが
…ガウェインにとって
アーサーは尊敬する人物のひとりであり
己の目標でもあるからな
じゃあ…なおさらだね
まさかアーサー…貴公のその奔放な性格まで
このときのために演じていたわけではあるまいな
…これまでよく支えてくれた
ケイ
………私は、見送らぬ
我が愚弟は旅立ったのだ
…身勝手にな
覚えてるか、ランス
初めて会ったときのこと
…あまり思い出さないでくれ
えっ、もしかして恥ずかしい話？
姉上…
流浪の末に辿り着いた学園…
なりふり構ってはいられなかった
昔のノワールと
同じ目をしていたな