最初から
貴様が一因であった
…もうやめねえか、アニキ
あの日、貴様は顔にキズをつけて帰って来て
「コルベニックにはなにもなかった」と申したな
「聖杯城の異名など伊達のもの
コルベニックは蛮族が住み着いた異教の地」
「攻める価値などなし
ブリテン島の支配を進めるのが上策」だと
…ほうほうのていで情報を持ち返ったオレに
エラく感謝してくれたじゃねえか
あぐぁアァァッッ！？
ライエンス陛下は家族に甘いから
許してくれるとお思いでしょうけれど
嘘はダメ♪
そのしばらくあと
出会った魔女が教えてくれたよ
あの城には聖杯に繋がるなにかが在ると
だというのに貴様は今の今まで
コルベニックへの進軍を止め続けた
継承者とその家族をかくまい
育て上げながらな
…抜け殻みてえな化け物で国を覆って
虚しくならねえのかよ
心外ね。王と魔女が仲良く
宝探しに勤しんでるだけだっていうのに
盤上の駒を増やすことになんの疑問がある？
勝手に動き回る兵のほうが邪魔で仕様がないがね
アニキ、なぁアニキ…ちげえだろ、わかってんだ
王様ンなったのはよ、覚悟があったからだろ…？
カレドニアに人がたくさん集まってたのはよ
アニキの国が良かったってこったろ…？
そのヒゲ、民から愛されてたんだろ？
だから俺もはやしてんじゃねえか、へへ…
こんだけバルバロイがいるってことは
そんだけカレドニアに人がいたってこったろ…？
貴様が先ではないか
…偽名を名乗り始め、私から離れたのは
ひとりの人間として
アニキを変えたかったからだ…！
カレドニアにはバルバロイに抗うすべがない
共生か、死か…選択の余地はない。だろう？
国を支えてくれた民全部喰わせて
なにが残るってんだ…！
手にした者の願いをかなえるという
聖杯の力を手中に収めることができれば
バルバロイを＊＊し、て…
我らのカレドニアを…もう一度＊＊な国へ──
あ、アニキ…？
…と、まァそのようなことを
『私』がのたまっていたようだが
…て、めえ…！？
愉しい走馬灯は見られそうか？