今回はロジーの里か？
でも、ここは俺と母さんとディナタンが
暮らしていた場所で…
父さんとは関係ないんじゃないか？
『妖精殺し』の罪で追われる身となってからも
師匠は常にお前たち家族を見守っていた
えっ？
お前たちに危害を加えようとする
賊や魔物は現れないか
ライエンスの手の者が
この里の存在を掴みはしないか
常に目を光らせていたんだ
- 母さんは知っていたんだろうか
- 言ってくれればよかったのに…
母さんはそのことを
知っていたんだろうか？
師匠は伝えていなかった
しかし、ひょっとすると…
ランスロット、どうした？
父さん…
言ってくれればよかったのに…
言いたかったはずだ
お前たちのそばにいてやりたかったはずだ
だが、姿を現すことは許されない
お前たちを大事に思っていたからこそ
…わかってるよ
どうしようもなかったんだって
ノワール…
…実はな
俺もこの里の近くを訪れたことがあるんだ
えっ…そうだったのか
ああ。まだＧＳして間もない頃、
訓練がてら師匠に連れられてな
あの頃は俺もどうにもうまく動けなくて
師匠に迷惑をかけた
このあいだのお前よりも
ひどい動きをしていたと思う
- そうなのか！？
- ちょっと見たかったかも
そうなのか？
ランスロットが！？
ああ
お前は俺を買いかぶりすぎだ
俺だって
そんなになんでも、うまくできるわけではない
ちょっと想像つかないな…
あ、いや
そうか
あんたも魚釣りが苦手だったりするもんな
前にも言っただろう
わざわざ釣らなくても、剣で突けばいいと
はいはい、わかったよ
ちょっと見てみたかったな
その光景
お前な…
ランスロットが失敗してる姿なんて
めったに見られないし
見せないようにしてるんだよ
皆の前ではな
あの頃の俺は、焦っていたんだ
師匠とＧＳを果たしたのだから
自分たちの関係を変えないといけない気がしてな
師匠を引っ張っていけるよう
俺がマスターとしてしっかりしなければと
今思えば滑稽だ
…ランスロットでも
そんなふうに考えるんだな
お前と同じだよ
俺も…必死だったんだ
師匠はそんな俺に
「焦らなくていい」と言ってくれた
「ゆっくり、自分のペースで進めばいい」
「たとえつまずいても、待っている
転んでしまっても、必ず手を差し伸べる」と
…それが、父の務めだからと
俺も…父さんからよく言われた
「急がなくていい」って――…
ゆっくり自分のペースで進んでいけばいいさ
俺だって初めはうまくやれなかった
同じこと、言ってる
ん？
いや…なんでもない
あんたも
しっかり継いでるんだなって思っただけさ