ここが今回の目的地だ
ここは…？
すべての始まりの地であり
そしてすべてが終わる地だ
今はまだその扉は固く閉ざされているが
いずれお前はここへ足を踏み入れねばならない
――師匠がそう、望んだ場所だ
父さんが？
ああ
ここにきてまた
大事なことを教えてくれないんだな
すまない
いいよ、謝らなくて
語るべきときが来たら、だろ
ちゃんとわかってる
ノワール…
お前が知りたいことは教えられないが…
思い出話をしようか
ここはな、俺が師匠とＧＳした場所なんだ
ランスロットと父さんが…
師匠はかつてニニアンの命を絶ち
妖精殺しの咎を負った
ああ。あんたはそのことを
俺たち家族に報せて…コルベニック城を去った
師匠の咎の理由が知りたかった
弟子として、その汚名を晴らさなければと
…だが追いついたときには
問い詰める暇などなかった
師匠はカレドニア相手に
ひとりで、ずっと戦っていて──
………俺は
あの人の前に立てるほど強くはなかった
弱かった
今よりもずっと
ＧＳするしかなかったんだ
師匠にはまだやるべきことがあったのだから
ランスロット…
…なあ、ノワール
師匠はな…
師匠は…本当に、お前を愛していた
お前を、ディナタンを…
そして、お前の母上を愛していたんだ
お前たちを
置いていってしまったわけではないんだ
どう説明すればいいかわからないが──
辛い道を歩ませてしまった
だがそれでもお前たちが生きる道を拓きたいと
ただ必死に…
………いや、これは俺の願望に過ぎないか
俺と師匠の気持ちが同じであって欲しいという…
だが──
けど、あんたはずっと
父さんと一緒にいたんだろ
…ああ
父さんのことを見て
父さんに付き合って秘密を抱えてきた
父さんが遺したいと思った記憶を持っている
ランスロットが言うなら、きっとそうだ
父さんはランスロットだからこそ
記憶を遺してくれたんだと思うし…
相手がランスロットだからこそ
ＧＳを決断したんじゃないかな
父さんは、俺たち家族のためなら
どんな無理でもする人だった
でも、ランスロットだからこそ
家族のことを託せたんだよ
…そうか
俺は師匠からたくさんのものをもらった
剣術だけではない
学園で皆に教えている知識も師匠譲りのものだ
親の顔も知らない俺に家族の温かさと
人と触れ合う大事さを教えてくれたのも師匠だ
あの人が引き合わせてくれたから
俺はお前やディナタンとも出会えた
うん
俺もよかったと思ってる
あんたに出会えて。あんたと兄弟になれて
そうか
い、今さらそんなに喜ぶなよ
こっちまで恥ずかしくなるだろ
めったに言われないんだ
これぐらい喜んだっていいだろう？
ディナタンと違って
お前は素直に俺を兄と呼ばないからな
悪かったな
師匠には、返しきれない恩がある
だからこそ…俺はあの人の願いを、本懐を
絶対に遂げたいと、そう思うんだ
それが、俺にできる唯一の…恩返しだから
ランスロット…
ノワール
な、なんだよ
お前はどんどん成長していく
誰よりも近くで見ているからこそわかる
今のお前になら、世界の命運を託せると
もうすぐだ
すべてを話す、そのときは
ランスロット？
さて、そろそろ戻るか
あまり遅くなると、ディナタンが心配する
…ランスロット？