連れてきたかったところってここか？
円卓の間じゃないか
そうだ
円卓の間だ
聞いていると思うが
師匠はかつてこの国の騎士だった
剣の腕前にかけては比肩する者なく
その騎士としての振る舞いは誰もが称賛していた
だからこそ下されたのだ
「世界平和の願いを叶える聖杯を探し求め
その聖杯へ導く妖精を守る」という任務が
ログレスをひとり離れ
リムニーナ村に来た理由ってのは…
ブルーノは
誉れ高き円卓の騎士だった
お前の入学が決まったあの日
アーサーは「席が空いている」と言っていた
正確には違う
この席は空いたままにされていたんだ
お前のためにな
ブルーノ・ル・ノワール
- 責任重大だな
- 連れてきてくれてありがとう
父さんがそこまでの騎士だったとは
思いもよらなかったよ
でも、その後を継ぐとなると
責任重大だな
だからといって
今さら逃げたりはしないだろう？
するわけないだろ
恥をかかせるわけにはいかない。父さんにも
…兄さんにも
連れてきてくれてありがとう
円卓の間に
キャメロット騎士学術院に
あらためて言わせてくれ
ようこそ、ノワール
そうか…
父さんもここに座っていたのか
あの日、あんたが俺を円卓に推薦したときは
本当にどうかしちまったのかと思ったけど
きちんと理由があってのことだったんだな
「どうかしちまったのかと思った」だと？
まったくお前というヤツは…
兄の心、弟知らずだな
仕方ないだろ、あのときは状況が状況だ
それにあんたはなにも教えてくれなかったし…
弟の心、兄知らずだ
…ふっ
…ははっ！
ただ
推薦人として困ったことがあるんだ
困ったこと？
聞いてくれるか？
もちろんだ
恩返しをさせてくれ
推薦されて入ったはいいが
剣術にかけては合格点をやれるものの
それ以外がサッパリなんだよ
うっ！？
これでは面目が立たん、
こ、ここで父さんの名を出すのは
卑怯じゃないか…？
ならばどうする？
ああ、もうわかったよ！！
やってやるさ！
父さんから託されたもの
あんたがここで培ってきたもの──
寄越してくれよ。全部
すべて積み重ねて
騎士の高みに登り詰めてやる
………強いな、ノワール
あんたほどじゃない
昔から
ずっと思っていたが──
見上げたやつだよ。本当に