えーと、なになに…
妖精と人間とに
外見的な差異はほとんどない
ブリテンにおいて、かつて妖精たちは
森や湖の周りに住んでいたとされる
バルバロイの増加と反比例するかのように
妖精たちが人間の前に姿を現す機会は減少した
ほう？妖精について調べているのかい
勤勉なのはいいことだよ。庶民ならなおさらにね
ん…？
- パーシヴァル、なんの用だ？
- ＭＣやってた人か
- （無視する）
パーシヴァルじゃないか
そう！ぼくこそはもっとも気高く
そしてもっとも高貴なる円卓の騎士！
（意味かぶってないか…？）
はるかに響け、ぼくのノブリス・オブリージュ
円卓の騎士・八ノ座パーシヴァル！
華麗～～～～～～に、推・参！！
なにか俺に用か？
お、おい、なんかこう、あるだろう！
「おおー」とか「ふーん」とか！！
（ふーん、でいいのか…？）
五月祭のとき
ＭＣをやってた、えーと…
どんな大舞台にも物怖じしない胆力！
溢れる語彙力！にじみ出るタレント性！
ボクがやらずに誰がやる！
いや、誰もやれるわけがないのだよ！
ボクはマスター・オブ・セレモニーを超えた
プリンス・オブ・セレモニー…
…って、違う！
パーシヴァルだ、円卓の騎士・八ノ座の！！
（うるさいな、こいつ…）
そんなことより次の本だ
えーと、なになに…
おおい、無視するな！
円卓の騎士・八ノ座、パーシヴァルが
話しかけてやっているんだぞ！？
…失敬
ボクとしたことが取り乱してしまったよ
貴族として恥ずべき行為だ
反省しなくては、庶民とは違うのだから
で、なんの用だ？
キミが庶民なりに頑張って
妖精のことを調べているようだから
妖精について詳しいこのボクが
貴族のこのボクが力になってあげようかとね
- 助かるよ
- 本当に詳しいのか？
- （無視する）
えっ、本当か？
図書館で調べものとか得意じゃなくてさ
協力してもらえると助かるよ、ありがとう
大変結構
庶民はそうであるべきさ
あんたが妖精に詳しいだって…？
本当かなあ
失敬な庶民だなキミは
ボクの言葉が信じられないというのか？
ああ
どこが！？
どのへんがっ！？
なんというか
全体的に胡散臭いじゃないか
ギーッ！
言うにことかいて胡散臭いだと！？
パーシヴァルくん、落ち着いて
彼は突然の申し出に動転して
言葉を選び間違えたんだよ、きっと
フォロー！
フォロー頼むよ！
え？あ、ああ
それじゃ、そういうことにしておくよ
他にも妖精について書かれた本はないかな？
ディンドランさんに聞いてみるか
おい！おいぃっ！無視するなって！
相手にしてくれないと
ボクにだって考えがあるぞ？拗ねるぞ？
なんであんたが
突然話しかけてきたのかはわからないけど
妖精について
知っていることを教えてほしい
わかった
では、ボクの付き人としてしばらく働くといい
…
………は？
キミが付き人として相応しいと認められたなら
教えてあげよう
妖精についての情報に加え
貴族としてのたしなみまでね！
凡庸な庶民を導く
まさに、ノブレス・オブリージュ！！
これにて契約は結ばれた！
ではまた会おう！
…え、どういう、こと…？
ノワールさん、パー坊…いえ、パーシヴァル様と
仲良くしてあげてね？
ときどき調子に乗りすぎてしまうこともあるけど
とてもいい子だから、あの子…
俺が？
パーシヴァルの付き人？
なんで？
本当にどういうこと…？