以前やった女の子らしい歩きかたの
自主練をしておきたいんだ
続ける決心がついたんだな
途中で投げ出すのは
騎士として恥ずべき行為だからな
ガラハッドらしいな
よし、俺もとことんまで付き合うよ
すぅ…
見ていてくれ、ノワール！
…いや、見ていてくださいませ！
あ、ああ
（話しかたも一応努力はしてるみたいだな）
腿は内向きに歩幅は小さく！
一緒に歩く人を抜かさない速度で！
腕の振りは小さく！
胸も張らず！
お、おお…！？
ふう…どうだ
女の子らしく、なっているか？
- よくなった
- フィエナも喜ぶ
だいぶよくなったな
そうか！
そう見えるか！
ただ、力んでいるのが自分でもわかる
これでは疲れてしまって長時間歩けないな
回数を重ねていけば
そのうち自然に歩けるようになるさ
ああ、今の歩きかたを見れば
フィエナもきっと喜ぶと思う
本当か！
姉上をがっかりさせてしまったぶん
できるところから取り戻していきたいんだ
ノワールのお墨付きなら
安心して披露できる
見たところ
ひとりでかなり練習したんじゃないか？
空いた時間に少しずつな
こういった訓練の類は苦手ではない
コルベニック城にいた頃、いつもやっていたから
- 努力家なんだな
- 騎士の訓練とどっちが大変だ？
努力家なんだな、ガラハッドは
ガラハッドが努力家？
うーん、そうなのだろうか
でも、姉上やお爺様の喜ぶ顔を想像すると
どんな苦労にも耐えられる気はするな
騎士の訓練とフィエナのレッスン
どっちが大変に感じる？
そう言われると返答に困るな
騎士の訓練は身体が悲鳴をあげる
このレッスンは心が悲鳴をあげる
大変の度合いが
まるで違う気がする
こうしてやってみて感じたんだが
ガラハッドは女の子らしい振る舞いが
嫌いなわけではないようだ
ただ、騎士として相応しいのか
という思いが恥ずかしさにつながり
その結果、身体が思うように動いていなかった
そんな気がする
騎士としての相応しさ、か
変な意味ではないんだけど
ひとつ聞いていいか？
構わないが
憧れた騎士がいたってのは
このあいだ聞いたけどさ
ガラハッドが騎士を目指した理由って
それだけじゃないんじゃないか？
姉上やお爺様をはじめとした
コルベニック城のみんなを守るためだ
僕に居場所をくれたみんなをな
へ、変だろうか？
分不相応だろうか？
誰かのためになにかをなし遂げたい
その想いに相応、不相応なんてないよ
胸を張っていい
立派なガラハッドの騎士道だと思う
ありがとう、ノワール！
俄然、やる気が出て来たぞ！
もう少し訓練に付き合ってもらえないだろうか？
言っただろ？
とことんまで付き合うって