よくぞ参った、諸君！
やれやれ
いいから早く結果を聞かせてくれ
ノワールってばせっかちさんだなあ
もうちょっと雰囲気を楽しもうよ
こほん！
さて、最終試験の結果だけど…
――その必要はありません、姉上
ガラハッド？
試験の真っ最中だというのに
ガラハッドはルールを破ってしまいました
騎士として戦ったことに後悔はありませんが
女の子らしさを問う試験においては失格
しかも、ノワールからもらったアクセサリーを
壊してしまうほどの大立ち回りです…
この体たらく…
甘んじて不合格を受け入れる所存です
姉上から絶縁されることも覚悟のうえです
え？絶縁？
誰が？誰のことを？
姉上がガラハッドを、です
ドレスのときのように姉上を悲しませてしまった
ふええ？
私が、悲しんでる～？
あははっ！
そんなわけないじゃない
え？
最終試験なんかより
困っている人を助けてあげなきゃ
姉上、しかし…
ガラハッドは騎士なんだから！
…はい！
ノワールだって
アクセサリーのこと気にしてないでしょ？
- 気にしてる
- 気にしてない
気にしてるよ
結構高かったし、あれ
ノ・ワ・ー・ル・く・ん？
う、ウソウソ！
まったくぜんぜんこれっぽっちも気にしてないよ
気にするわけないだろ
またいつでもプレゼントするよ
だって！
気にせず何度でも失くして大丈夫だね！
そこまでは言ってない
それよりノワールとのデート、楽しかった？
た、楽しかった…です
それなら最終試験は合格だよ！
え…
私はね、ずっと心配だったの
ガラハッドはいつも自分を押し殺して
私やみんなのために戦ってくれているでしょ
私のお願い、ゼッタイに聞いてくれるでしょ
いつも思ってたんだ
いつか息が詰まっちゃうんじゃないかって
だから好きな格好で好きなように日常を楽しむ
そういう時間を持ってほしかったんだ
それでこんなことを
でも、僕が女の子らしくなんて…
もし本当に嫌だったら
嫌って言ってくれていいんだよ？
たまにはケンカもしようよ
私たちはお姫様とそれに仕える騎士じゃない
家族でしょ？
はい…
はい、姉上！
でも、ほんとにケンカになったら手加減してね？
私ね、ガラハッドが女の子の服に
憧れてたこと知ってるんだから！
私がかわいいドレスを着てると
いつもキラキラした瞳で見てたでしょ！
なのに自分の番になると
恥ずかしがるんだもん
そ、それは！
姉上のほうがかわいいから…
それはそうかもしれないけど
今は話が別だよ！
（かわいいを否定はしないんだな）
でも、今は恥ずかしさよりも
楽しさのほうが大きくなったでしょ？
それが大事なの！
自分に素直に、楽しく振る舞うのが一番！
毎日重い鎧を着なくても
いいんだからね！
はは…姉上にはかなわないな
でも、おかげで
女の子らしく過ごす楽しさを知りました
ですから、今度こそ
かわいい服を買いに行きましょう
うん！