たしかここは
キミと初めて会った花畑…
そうです
私が初めて先輩に手紙を渡した場所
このくらいでいいかな…
どうするんだ、その花？
トビーくんと一緒に
お墓参りに行くことになったんです
トビーくんのお父さんとお母さんの
なるほど
そのための花か
先輩
私ね
トビーくんの様子を見に帰ったとき
村のみなさんと話すようにしてるんです
話せるようになったんです
みなさんの目を見て
- かわれたな
- みんなはなんて？
かわれたんだな
はい
まだ声が上ずったりすることもありますけど
みなさんとアストラットの将来について
語り合っています
アストラットの領主…
いえ、アストラットの美姫として
そうか
みんなはなんて言ってるんだ？
それが、その…
すごく恥ずかしいんですけど
「アストラットの美姫が
この村を発展させてくれる」って
まだ私、なにも始められてないのに…
先輩、見ててくださいね
何年…
いえ、何十年かかるかわかりませんけど
アストラットをログレスに負けないくらい
賑やかな場所にしてみせますから！
期待してる
キミならできるよ
全部、先輩のおかげです
ありがとうございました
そんな…
俺はなにもしてないよ
ふふっ
そうだ。手紙を預かって来たんです
トビーくんから先輩あてに
トビーが俺に？
はい
私が代筆しました
トビーくんの感謝の気持ちが綴られてます
読んであげてください
そっか
えーと、なになに…
「いつもそばにいてくれてありがとう
優しく見守ってくれてありがとう」
「他の方とは
目を見て話せるようになったつもりですが」
…あ、あれっ？
「あなたに見つめられていると
どうしても胸がドキドキしてしまうので」
「やっぱりこうして
手紙で想いを伝えさせていただきます」
ちょっ！？
ちょっと、ま、待ってください！！
「あの花畑で初めてお会いしてから
ずっとあなたのことを…」
わーっ！
わーーっ、それ以上、読んだらダメです！！
え、だって…俺あての手紙なんだろ？
トビーからの
先輩あての手紙ではあるんですけど
まだ読んじゃダメっていうか…
読んでほしくないっていうか
読んでほしいっていうか…
どういうことだ？
こ、心の準備ができたらあらためて！
今日はこれで失礼しますっ！！
お、おい！
トビーの手紙は…？
まだまだだ、私