それで、いいことって？
手紙が届いたんです
誰からか、わかりますか？
- マルコさん
- 学園の男子
その嬉しそうな顔を見れば見当がつくよ
マルコさんだろ？
正解です！
まさか手紙をくださるなんて…
なんて書いてるんだ？
それじゃあ、読みますね？
ひょっとして学園の男子から
ラブレターをもらった、とか…？
ラッ、ラブッ！？
私みたいにチビでチンクシャで寸胴の田舎者が
そんなのもらえるわけないじゃないですか！
そうか？
俺はリリアーナのことかわいいと思うけどな
かっ、かわっ！？
もう、からかわないでください！
マルコさんからの手紙です、読みますよ！？
「皆さんお元気ですか」
「厳しい状況ではありましたが
私は無事カレドニアへ戻ることができました」
「今は故郷に帰り
小さいですが畑を作りました」
「リリアーナさんの見よう見まねで
いくつか野菜を育て始めています」
「わからないことだらけで失敗続きの毎日ですが
リリアーナさんの言葉を胸に諦めることなく」
「元気に前向きに生きていこうと思っています
追伸」
「リリアーナさんのトマト、本当に絶品でした
私もトマト栽培に挑戦してみます」
…ですって
無事に帰れたみたいで良かった
えぇ、本当に
マルコさんは
リリアーナのおかげで立ち直れたんだ
私ですか？
私はなにもしてないですよ
してたよ、俺は知ってる
- 顔が真っ赤じゃないか
- 無自覚ってこと？
どうした？
顔が真っ赤じゃないか
ノワールさんが変なこというからですよ！
…そんなに赤いですか？
うん、耳まで赤い
うう…
いつもトマトをたくさん食べているせいかな…
（トマトは苦手だけど
真っ赤なリリアーナはイヤじゃないな）
リリアーナは
自分の優しさに気づいてないんだな
優しい…？
そこも無自覚なのか
誰かに優しくするとか、親切にするなんて
当たり前のことじゃないですか？
…当たり前にできることじゃないよ
やっぱりすごいな、キミは
来る途中で出会ったの
畑仕事を手伝わせてほしいんですって
本当ですか！？
みなさん、ありがとうございます！
これだけ人数がいるなら
畑の拡張を考えてもいいかもしれないな
先に行って
畑の場所を教えてくるわね
やっほー、兄さん！リリアーナさん！
こんにちは、ディナタン
それに、マルディサント、さん…
アタシは別にいいって言ったのに
ディーナに無理矢理連れてこられてよ
たまには外で日光を浴びるのも悪くないと思う
脚本のアイディアも浮かぶかもよ？
…そんなもんかねえ
マルディサントはその辺に座ってればいい
労働力として期待してないし
働くつもりなんかねえっつーの
マァル、あっちにベンチがあるから
へいへい
この畑も
賑やかになってきたな
ノワールさんのおかげですよ
俺？
俺はなにもしてないだろ
してました。私は知ってます
ふふっ
ははっ
それで？
俺がなにをしたって？
私に声をかけてくれました
そして、畑を手伝いたいって言ってくれました
あのとき、本当はすごく嬉しかったんです
そうしたらクレアやディナタンも
来てくれるようになって…
全部、ノワールさんのおかげですよね
この場所を作ったのはリリアーナだろ？
俺なんかなにもやってないよ
それにリリアーナと一緒にいたいんだよ
俺も、みんなも
そうなんですか…？
そう
リリアーナは周りの人間に元気をくれるんだ
野菜の生命力がキミを元気にしているようにさ
これからも頑張らなくっちゃ…
この畑で…この学園で