おいしい！
どうやって作ってるんでしょう、これ…？
よかった
ようやく笑顔になってくれた
えっ？
ああ…
気を使わせてしまって、ごめんなさい…
- 騎士だから
- 一緒に食べたかったから
- 俺が食べたかっただけ
コホン
騎士たるもの…
ふふっ
女性に優しくするのが務め、ですもんね？
さ、先に言わないでくれよ…
恰好つかないじゃないか
何度も聞かされたので
覚えちゃいました
この店のウワサを小耳にはさんでさ
キミを誘おうと思ってたんだ
ありがとう！
使っている牛乳が違うのかな？
それとも発酵させる時間とか温度…？
いや…これについては
単純に俺が食べたかっただけなんだ、けど…
あ、そう、ですか…
…
…
それにしても本当においしいですね
作りかた、教えてもらえないでしょうか
さすがに企業秘密じゃないかな
そうですよね。ヴェルナルス様に
作ってあげられたらと思ったんですけど
昔からヴェルナルス先生によく作ってるのか？
子供の頃に、戦場から戻られたヴェルナルス様に
ヨーグルトを作ったことがあったんです
そのときにおいしいと褒められたことが
とても嬉しくて…
それ以来、戦場から戻られるときは
必ず用意するようにしていました
へえ…そうだったのか
でも、毎回同じものじゃ飽きちゃいますよね
そろそろ変えたほうがいいでしょうか
どうだろう
ヴェルナルス先生に聞いてみたことは？
実は一度だけ…
そのときは変えなくていいと言われました
じゃあ、変えなくていいんじゃないか
でも…
実は俺も傭兵をやってた頃、戦場から戻ると
ディナタンがいつも同じスープを作ってくれてさ
味が変わらないからこそ
ほっとするっていうか…
いつもの日常に戻って来たって
実感できるんだ
もしかすると、ヴェルナルス先生も
似たような心境なのかもしれない
そうでしょうか…
もしそうなら嬉しいですけど
どうしても気になるならさ
それとなく聞いてみたらどうだ？
それは…えっと
考えておきますね
…？
そ、そういえば、このあいだ出会った
ローマの兵士の方はどうなったんでしょうか
受け入れの手続きは
ケイがうまくやってくれたようだ
力仕事に自信があるってことで
少し離れた村の工事を手伝いに行かせたって
そうなんですね、良かった…
聞いているかもしれませんが、あのあと
他にもローマ兵から投降の申し出があったとか
兵士だけじゃなく、一般人もチラホラらしい
ケイは手続きやらなにやらに大忙しだよ
ルーシャス様やヴェルナルス様は
無事なんでしょうか…
ローマ軍に大きな動きがあったとは聞かないから
無事なんだとは思う
カレドニア城にいるんじゃないかな
…たぶん、ローラも一緒に
無事であってくれるといいんですが…
ウワサではルーシャス様たちが
カレドニア城を占拠して以来
バルバロイの数は増すばかり
目撃情報も広範囲になってきているそうです
カレドニアから逃げ出せた人は
運がいいのだとも言われています
ヴェルナルス様はとても強いかたですし
私の心配なんか不要かもしれない…
だけど、やっぱり一緒にいたかった
ついていくべきだった、と考えてしまうんです
行こうか
…どこへ？
決まってるだろ、カレドニアに
え…ええっ！？
ちょっと様子を見に行くくらいなら
大丈夫じゃないか？
本当に大丈夫でしょうか…？
- 俺がキミを守る
- カレドニアの様子が気になる
- ちょっと怖いけどね
大丈夫
なにがあっても、俺がキミを守ってみせる
ありがとう、とっても嬉しいです
ノワールがそう言ってくれると
どんなに危険なことも怖くなくなりますね
ヴェルナルス先生やローラもそうだけど
カレドニアの様子が気になる
本当に住人たちが苦しんでいるのなら
助けてやらないと
そうですね
私たちはバルバロイと戦う力を持つのだから
本当に大丈夫か、って言われると
…ちょっと怖いけど
キミのために頑張ってみるよ
む、無理は
してくれなくていいですからね…？
念のため
国外へ行く許可をもらったほうがいいかな
賛成です
無断で行くのはやめておきましょう
じゃあ、日をあらためよう