よしよし、それじゃ早速研究を…
あっ、ブレイズせんせ～！
おうおう、どうしたんじゃ～
授業の質問か？
え～？質問とかないけど～
せんせーとお話したいから来たんだよ～
ね～！
そうかそうか～！ワシの魅力に気づくとは
おぬしら、若いのになかなかやるのう
だって先生、ちょーかわいいんだもん
特に髭がキュートでイケてる～
ウソ！ワシ、カワイイ？
かわいい～！
ふぉっふぉっふぉ
こりゃ、照れちゃうのう～
（すごくデレデレしている…！）
若い子にはかなわんのう。けどもな
ワシはカワイイだけじゃないんじゃぞ？
昔は山より大きなドラゴンを倒したこともある
スゴウデの魔法使いなんじゃから～！
え～、マジで～？
山より大きいドラゴンを～？
マジマジ、これマジなんじゃよ！
しかもひとりで！！
しんじらんなーい！
（俺も…）
なんと～！それじゃかわいいおぬしたちに
在りし日のワシの雄姿、語っちゃおうかのう～
先生、アーサー様がお呼びです
先生…？
…おしゃべりに夢中で聞いてないみたいですね
はぁ…仕方ありませんね
………えいっ
もがっ！？
ちょっ、え！？ブレイズ先生！？
………
ブレイズ先生が固まった…！
マーリンさん、いったいこれは…！？
特注のチョコレートファッジです
うちの先生は甘いものを食べると
思考停止してこうなるのです
さあ、あなたたちはそろそろお戻りなさい
は～い
………はっ！
あ、目を覚ましましたよマーリンさん
ええ。完全に食べ切ったようですね
ワシはいったい…！
- 大丈夫か？
- もうひとついっとく？
大丈夫か？
大丈夫なわけあるかい！
口の中が甘ったるくてたまらんわ
早いところ塩分を補給せねば、
ワシの偉大な頭脳がしなびてしまうぞ～！
それだけ口が回れば大丈夫だな
もうひとついっとく？
勘弁してくれ～
ワシ、甘い食べ物だけは駄目なんじゃ！
頭がトロ～ンとするというかなんというか
あんなもの食べるやつの気が知れんわい
あんたにだけは言われたくないんだが…
マーリン！おぬしはまた師匠の口に
スイーツなんぞを突っ込んでからに～！
先生が私の呼びかけをお聞きにならないからです
そんなことより、アーサー様がお呼びですよ
なに？アーサー王が？
バルバロイ研究の進捗の件かのう。それとも…
それともまた、若かりしマーリンの話が
聞きたいと仰るのかのう～
は！？！？
なっ！は！？え！？なななな、なにを！？
なにを言ってるんですか、先生！？
アーサー様になにを教えたの？
ねえ、先生！？
ふぉっふぉっふぉ！まったくアーサー王ったら
マーリンに目がないんじゃから～
ちょ、ちょっと先生！？待ってください！
待って…待ってって言ってるじゃない！
もう！変なこと言い残していかないでってば――
ま、マーリンさん…？
はっ！
…なんでもありません
忘れてください、ノワール様
どれをですか？
アーサーがマーリンさんのことを
ノワール様？
すみません
…あれは先生の冗談です
真に受けないでください
…なるほど
あの…あの人、本当にあなたの師匠なんですか
なんか胡散臭いっていうか…
山よりも大きなドラゴンを倒したとか
大げさな話ばかりでどこまで本当か…
先生の武勇伝はすべて本当のことです
そう…なんですか？
ええ。疑われてもしかたないですけれど…
ですが先生は本当にすごい方なんですよ
あの方は若くして魔法の神髄を知り
人の身で扱える最高峰の魔法を会得した方
魔法の腕前で先生にかなう者は
今、恐らくこの世界にはいないと思います
魔術の教本にも
先生の名前は何度も出てきますよ
そうなんですか
ちょっと信じがたいですけど…
ノワール様もいずれ
その力を目にすることがあるでしょう
そのときをお待ちください