ワシの仮説が正しければ
バルバロイが喰らった記憶の行先は――
そしてオブリヴィエの果ては――
つまり、失われた記憶を――
むむむ…
しかし、今のままでは決め手に欠ける…
研究を急がなければ…
自らの存在をかけて戦う若者たちのために――
先生
（全然気づかないな…
よっぽど集中しているみたいだ）
- 大声で呼びかける
- 肩を叩く
ブレイズ先生！！！！！！！！！！
うひゃああ！！
って、なんじゃノワールか。驚かせるでない…
鼓膜が破れるかと思ったぞい…
やっと気づいてくれたみたいだな
ブレイズ先生！
おお、ノワール！びっくりしたぁ
いきなり肩を叩くでない！
何度も声をかけたって！
すまんすまん、集中しておったもんでな
まったく…で、どうしたんじゃ
そんなにワシと話がしたかったのか？
あんたがずいぶん根を詰めてるって聞いて
様子を見に来たんだ
ほう。もしや、マーリンになにか言われたか？
あの子も心配性じゃのう
- 当前のことだ
- 俺だって心配だ
弟子が師匠のことを心配するのは当然だろ
…そうじゃなあ
あの子は昔からよく気がつく子じゃった
気がついてるのになにもできんというのも
もどかしいじゃろうなあ
なんの話だ？
…いや。こっちの話じゃ
マーリンさんだけじゃない
俺だって心配してる
おぬし…意外と情に厚いタイプなんじゃな
い、いいだろ俺のことはどうでも
どうでもよくはない
おぬしがいい子であればあるほど
胸が痛むかもしれんな
悪いが、今ちょっと手が離せないんじゃ
来る『淘汰』に備え、ワシは急がねばならん
淘汰…？
授業でやらんかったか？
世界にバルバロイが大量発生する現象のことじゃ
人間の世界とバルバロイの世界とが繋がり
いずこかからバルバロイが大挙して押し寄せる
まさにこの世の終わり。それが『淘汰』じゃ
そんなの本当に起こるのか？
『淘汰』は確実に起こる。それは間違いない
だからこそ研究を急がねばならんのじゃ
確実にって、なにを根拠に…
………
…すまんが、今日は帰ってもらえるかのう
もうちょっとで研究がまとまりそうなんじゃ
…わかった
すまんな
マーリンには上手いこと言っておいてくれ