プレゼント
決まりましたか？
うう～ん、まあボクがいるだけで
ママもパパも幸せなんだろうけどさっ
あらあら、カイルくんは
自己肯定感が高くてよろしいですね～
でしょでしょ
なでて！なでて！
はい、いつでも
なでなで
へへっ、ありがと～、大好き～
ね！！！！
うわ…マジだ…
- まだわからない
- お相手は
- あまり首を突っ込まないほうが
ま、まだわからないだろ
クラリスの隠し子かどうかなんて
そういう想定で動いたほうがいいよ
動くってなんだ
こっちの受け入れ態勢を
整えておくべきってことじゃねーか…？
お相手は…誰なんだ、いったい………
なにドレッドなんだ…？
ちょっと待って、仮定だけで
そこまで妄想しちゃうのは失礼だよ
ラグネルが言うか…？
人の家庭事情には
首を突っ込まないほうがいい
おやおや、ノワールくんも
ここまで突っ込んで来てるのではぁ？
コトバとコウドウが一致していないよ
説得力がないねえ、ノワールくんはぁ
グッ
クラリスお姉ちゃんだったら
なにをプレゼントする？
え──…？
…風向き変わって来た？
クラリスちゃんのことを
隠し弟ってことか？
隠し弟って言葉、存在するか？
サプライズにしたいんだけどさ
なにあげたって驚いてくれなさそうなんだ
ママもパパも
商品という商品は見飽きてるだろうからさぁ
なんでも嬉しいはずですよ
カイルくんからのプレゼントなら
けどさ、けどさあ！
はい。なんです？
ハートに火をつけたいんだよ！！
な、なるほど～？
クラリスお姉ちゃんならさ
どうする？
…そ、うですね～
………？
ままごとやってんのか、まだ
あっ！
ねえ、モルドレッドが来たよ！
モルくん、コラッですよ
そういう言いかたは
クラリスも一歩も引かねーな！
大聖堂のヤツに任せときゃいいじゃねえか
こんなガキ
………このお兄ちゃん、嫌い
こ、子供は素直だね…
わ、わたしも大聖堂につとめる
シスターの身なので──
これから降誕祭の準備もありますし
戦いの際にはログレスに留まることになりますし
おめえの仕事じゃねえだろ
モルくん、お願い
祈ったってダメだね
………でも
一進一退の攻防
両者譲らずといったところでしょうか
クラリスちゃん、いつもだったらすぐ折れるのに
これはちょっと不思議ですねノワールさん
あれ、ノワールさん？どこ行った？
待てよ
ああっ、ノワール行っちゃった！
ア？
んだよてめえは
ガウェイン、どうしよう！
険悪な雰囲気だよ！
よっしゃ加勢するか！
待って待って！
そんなことしたら余計ややこしくなっちゃうよ！
クラリスの話を
聞いてあげてもいいんじゃないのか？
他人はすっこんでな
ノワールくん…
…クラリス
おめえ、もしかして──
はい…
──
………わかりません
『視えた』…？
そんなのいちいち気を回してたら──
ありがとう、モルくん
チッ
なんかわかりあったみたいな雰囲気？
みたいだね。あのふたりなりの
コミュニケーションがあるっていうか
オイ、ガキ
な、なに
コイツにケガさせたら
その髪全部はがしてやるからな
え、えええ～…？
モルドレッド…！
んだよ。お子様に配慮して「ブチ殺す」とか
言わなかったことを評価願いたいね
…クラリス、さっきの
『視えた』ってどういう──
ノワールくん、ストップ
そのお話は後日
え………？ああ…
カイルくん、怖がらせてしまいましたね～
ごめんなさい～
へ、平気だよ
お話の続きでしたね
「プレゼントをどうするか」──
はじめてのサプライズなんですね？
うん、クラリスお姉ちゃんならさあ
ボクより年上だろ、経験豊富だろ？
…わたし、実を言うとですね？
うんうん
したことないんです
プレゼント
えっ
だから、お救いください～
ノワールくん～
巻き込まれた！
よく巻き込まれるよねえ
ノワールって
そこのお二人もご一緒に
ウワアッ！？
わたしも常々
知りたいと思っていました
驚くほどの幸いとは、なにか