まさにサプライズだったな
カイルの両親にとっては、最悪の
…そうでもないさ
あ？
モルくん
ケガねえか
はいっ。ご覧のとおり～
なら、いい
はいっ
雪、やんできたから、行くわ
あの、モルくん
んだよ
どうでしょうか、この服
ああァ～？
い、いいえ、なんでもないです～
………ハーッ
血迷ったかと思って、驚ぇたよ
…──さぷら～いず
だっっるゥ～
いやはや
ワケアリドレスを
修繕した甲斐があったね！
………はいっ
そういえば
気になってたんだけどよ
カイルの叔父を追い詰める作戦…
なんで俺たちに教えてくれなかったんだ？
ああ～それは…
「どこかから作戦が漏れたらヤバいから」でしょ
あと、あたしたちが慌てて騒いだらヤバいから
…やっぱ精神、高めねーとだな
そういえば、カイルのプレゼントの件って──
ああ、あれはですねえ～
クラリスお姉ちゃん！！
もう行かれますか
うんっ、ママとパパといっしょに
ロンディニウムに帰るよ！
…あの、カイルくん
今回のこと、ごめんなさい、いろいろと
ええ？
色んなことに巻き込んでしまいました
怖い思いもさせてしまって
ううん
クラリスお姉ちゃん、ありがとう！
………カイルくん？
ママとパパにね、
すっごく驚いて…喜んでくれたんだ！
あのプレゼント？
クラリスお姉ちゃんがね
『押し花』を作ってくれたんだ！
マルイルさんから買った花束は
バラバラになってしまいましたが──
なんとか綺麗な部分だけでも
残せないかと思いまして～トライだけでもと…
それでね、マルイルさんから額を買って
ママとパパにプレゼントしたんだ！！
あまり…うまくできたかは、わかりませんが～
- カイルの望みどおりになった
- 無事な花があったのも幸運だった
カイルの望みどおりになったじゃないか
え？
クラリスに
プレゼントを考えて欲しかったんだろ？
そーいやそうだったな！！
無事な花があったのも幸運だったな
…ただ、運が良かっただけですよ～
暴漢に襲われたとき、クラリスちゃんが
率先して動いたからこそ無事だったんだよ
それはローマ軍残党との戦いのときもそうだ
クラリスがみんなを守ったんだよ
それに、お姉ちゃんがいてくれなかったら
あんな風にママとパパに喜んでもらえなかったよ
………
本当に、ありがとう！！
…どういたしまして
………あと、これは
ボクからお姉ちゃんたちにプレゼント！
これは…
これも…『天使の贈り物』の、押し花…？
お母様用と、お父様用のふたつを
カイルくんにお渡ししたはずですが…
ウチはひとつでいいんだ！
ママもパパも、ボクをお仕事に
連れてってくれるんだってさ
これで家族全員、ずっといっしょにいられる
ボクは大商人の跡継ぎとして将来安泰！
ちゃっかりしてるね～
そうだな！
将来が楽しみだぜ！
だからもうひとつの押し花は
クラリスお姉ちゃんに持ってて欲しいんだ
驚いた？
………
ずっと
ついてないなと思ってました
不幸が視えて
それを告げたら怖がられて
だから誰にも近寄らなかった
誰になにも贈ることはなかった
でも今、わたしが贈ったプレゼントが
幸せを運んできた
これには驚き？
いえ…もっと、それ以上に──
ハートに
火がツキました