そこまでだ
お前たちは――
そうか。自ら力を捧げにやってきましたか
選ばれしもの――継承者であるこの私に
お前が、継承者…？
私は継承者として世界を救わねばなりません
そのためには力が必要なのです
だから奪ったのか
皆から、力を
優れた力は継承者が持つべきもの
あるべきところへ集結させるべきなのです
貴方のせいでたくさんの人間が苦しみました
バルバロイに襲われて傷ついた人だっています
それが正しいことだとでも…？
世界を救うためですから
世界を救うためには何を犠牲にしても許されます
継承者にはそれが許されるのです
世界を救う選ばれし存在なのですから
…！お前――
――ふざけないで！！！
「なにが継承者よ。なにが世界を救うための力よ
勝手なこと言わないで」
「兄さんたちがどんなに辛い思いをしてるか
なにも知らないくせに！！！」
え、エレイン…？
ディナタンさん、次の手紙を！！
！！
「世界を救うためならなにを犠牲にしてもいい
なんて、そんなわけないでしょう！？」
「だって兄さんが守りたい世界は大切な人が――
皆がいる世界なんだから」
…！
ディナタンさん、次の手紙を！
！！
「継承者だからって、そんなの受け止められない
受け止めなくたっていい」
「大切な人を笑顔にできない苦しみも
大切な人に上手く寄り添えない悲しさも」
「継承者だからなんでも背負わなきゃなんて
そんなの絶対おかしいのに」
ディナタン…
～～～！！
「…それでも、兄さんは戦うんだから
――それが、継承者なんだから。だから…」
あなたは継承者なんかじゃない
あなたは――偽物です
な…なんだ？なにを言っているんだ？
継承者である私に向かって…
私は世界を救う選ばれし存在…
私は、継承者なんですよ…？なのに…
…ところで、貴方は本当に継承者なのですか？
…は。なにを馬鹿なことを
当然じゃありませんか！
その証拠に私には力がある！
バルバロイを従える力が！！
…どうやらかなり末期のようです
『継承者』という存在に執着しながら
それがなにを為す存在かも忘れているのですから
私は継承者だ。世界を救うのだ
その私に仇なすものは世界の敵だ
この場で殺してやる、世界のために！！