…よし！
あとは焼き上がりを待つだけだな
すでにバターの香りが漂ってきてるな
すごく美味しそうな匂いだ
やっぱりガウェインは料理が上手いよなぁ
ノワールだって1日でかなり上達したな
きっとコック長も喜ぶぜ
おまたせ！コック長を呼んできたぞ！
それじゃ、早速お菓子の確認をしてもらおう！
おお！ずいぶん頑張ってくれたじゃねぇか
んじゃさっそく――
パクッ…もぐもぐ………
（ゴクリ…）
………うん
ど、どうだ？
…うん。まずノワールが作ったほう
見た目はちょっとイマイチだが
素朴な味わいがあって美味い
基本に忠実で、丁寧に作ったことが伝わる
これなら自信をもって街の皆に配れるぜ！
やったー！
で、ガウェインが作ったほうが――
駄目だな、コリャ
え？
忙しいところに頼んでおいてワリーとは思うが…
これじゃ皆に配れねぇな
そんな、なんで…
客に出すものに妥協はできねぇ
今回はノワールが作った分だけ配ることにする
でもそれじゃ、数が足りないぞ
街の皆に行き渡らないかも
かもしれねぇな
けどしかたない
しかたないって――
ちょ…ちょっと待てって！なんでだよ！？
ちゃんとできてるだろ！？
見た目だって完璧だし、味だって――
…パクッ
………！
ガウェイン？
ガウェイン
ノワールが作ったほうも食ってみろ
…パクッ…もぐもぐ………
どうだ？
………
…あんたの言いたいことはわかった
確かに…俺が作ったほうは――
これじゃ出せねーかもしんねぇ
え…どうしてだ！？ガウェインのお菓子は
俺が作ったやつよりずっと美味しそうなのに
確かに見た目だけでいえば
ガウェインが作ったお菓子のほうがよくできてる
けど…なんかが足んねーんだよ
それがなにかは、わかんねーけど…
街の様子を見に行ってみろ
そうすれば、きっと分かる
………