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【アーサー】 本来なら人里までは出ないはずの獣たちが なぜか巣穴を出て暴れまわっている |
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【アーサー】 それにこのただならぬ様子―― これは…何事かありそうだな |
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【マーリン】 おふたりもそれを調べに行ったのでしょうか |
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【アーサー】 かもしれないな ひとこと相談してくれればよいものを… |
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【アーサー】 …いや、俺が頼りにしてもらえるだけの 甲斐性を示せていないだけか |
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【マーリン】 …申し訳ありません |
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【アーサー】 ん?どうした、急に |
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【マーリン】 私がおふたりの気晴らしを提案したばかりに このような事態になってしまって |
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【アーサー】 なにを言う。むしろ感謝しているんだ 生徒の心のケアは本来、学長の務めなんだから |
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【アーサー】 お前にはいつも、助けてもらっているよ |
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【マーリン】 ですが… |
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【アーサー】 …そういえば、俺たちが孤児院を抜け出して 都を目指したのも、今日みたいな暑い日だったな |
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【アーサー】 母を喪い、父に遠ざけられるように 見知らぬ土地に送られ… |
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【アーサー】 あの頃の俺は、どこにも 自分の居場所がないような気がした |
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【アーサー】 焦燥感に駆られ無計画に飛び出した俺に お前と義兄さんは着いてきてくれた |
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【マーリン】 …あの頃のあなたはいつも寂しそうで 「ひとりにしてはいけない」――と |
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【マーリン】 子供心に、そう思っていましたから |
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【アーサー】 結局、子供の足ではそう遠くへ行くこともできず 志半ばで先生方に連れ戻され大目玉をくらった |
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【マーリン】 よく覚えていますよ。連帯責任で怒られて… とんだとばっちりでした |
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【アーサー】 そうだったな 3人一緒に叱られてベソをかいて―― |
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【アーサー】 そのとき、俺はようやくわかったんだ 俺はひとりじゃないんだと |
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【アーサー】 俺の大切な夏休みの思い出だな |
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