=== 第18章 冷たい海路 === (イルシオン航路) ヴェイルの真実を知った神竜軍は、 邪竜の待つ地、イルシオンへと向かう。 --- OP --- [ソンブル] ほう。ヴェイルが神竜の元に 『聖騎士の指輪』を戻したと。 [セピア] 申し訳ございません…! [ソンブル] 四狗がついていながら、この体たらくとは。 『碧き風空の指輪』も失ったと聞く。 事の重大さは、わかっているな? [セピア] …はい。 [ソンブル] ヴェイルはどうしている。 [セピア] 深く眠っておられます。 しかし、何度竜の衝動を強めても 邪竜の娘たる人格が目覚めることがなく… [ソンブル] 在るべき自身の姿を否定するなど、愚かなことよ。 セピア、これを持て。 [セピア] これは? [ソンブル] 我の力を込めた魔法具だ。 お前の術の力を何倍にも引き上げてくれよう。 我の力、そしてお前の術を以ってして… 『ヴェイル』を完全なものとするのだ。 [セピア] ソンブル様… [ソンブル] あれには使い道がある。 来るべき時まで、恙無く務めよ。 [セピア] 承知いたしました。 すべて貴方様の御心のままに。 ………… あの、ソンブル様。 [ソンブル] 何だ。 [セピア] つかぬことをお伺いしますが、ソンブル様の御子は… ヴェイル様おひとりでいらっしゃいますわよね? [ソンブル] それは、「今は」という意味か。 [セピア] はい。 [ソンブル] であれば、答えは然りだ。 [セピア] そうですわよね。やはり私の考えは杞憂でした。 申し訳ございません。 [ソンブル] なぜそのようなことを問う。 [セピア] ヴェイル様が…生き残りのごきょうだいがいると 仰るものですから、真偽を確かめなくてはと。 何でも、渡された竜石が今も砕けていないとか。 [ソンブル] ほう… [セピア] ですが、ソンブル様のお言葉こそ真。 ヴェイル様は何か勘違いをなさっていたのですわ。 千年前…ソンブル様の御子たちは皆、 戦の中で散りましたものね。 中でもひと際優秀であった… 燃えるような髪と瞳の御子様は、薄らと記憶にあります。 確か、名は… [ソンブル] セピアよ。 [セピア] はい。 [ソンブル] 我は死した子らの名も、顔も、一々覚えておらぬ。 だが…その者には、我が止めを刺した。 [セピア] …はい。 [ソンブル] 直後に我は倒れ、封印された。 お前はその者の骸を回収したか? [セピア] い…いえ…… [ソンブル] では、先ほどの質問の答えを変えよう。 [セピア] ! [ソンブル] 答えは否だ。 もしも邂逅するようなことがあれば… 確実に消しておけ。 [セピア] そんな…ではやはり、あの者が…!? [リュール] 船を手配してくれて、ありがとうございます。 アルフレッド。 [アルフレッド] いいんだ、礼なら母上に。 イルシオンに向かうならと、 フィレネでも有数の性能のものを用意してくれた。 [リュール] フィレネ城や王都に 変わりはありませんでしたか? [アルフレッド] ああ。僕たちがブロディアに向かってから、 城への襲撃はなかったそうだ。 [リュール] 良かった… [アルフレッド] 母上には指輪のことと、各国の状況を報告しておいた。 奴らが王の血を狙っていることも伝えたよ。 モリオン王とハイアシンス王の件は… 母上もショックが大きかったようだけれど。 [リュール] そう…ですよね。 [アルフレッド] それから、フルルの港での一件は、 王家から支援を惜しまないとのことだった。 元の美しい港に戻るには… 多くの時間がかかってしまうかもしれないが。 [リュール] もう二度と、あんなことが起こらないように、 早く邪竜を倒さないといけません。 [ディアマンド] イルシオンに着いたらどうする。 すぐに城を目指すか? [リュール] そうしたいところですが、 まずは情報を集めます。 指輪の数で勝っているとはいえ、 返り討ちにされては元も子もありません。 それから、欲しい情報がもう一つ… [ディアマンド] もう一つ? [リュール] ヴェイルが無事かどうか、気がかりです。 [ディアマンド] 確かに、ただではすまなそうだったな。 [ディアマンド] [アイビー] 本来の人格を消し去る気かしら。 …あの女なら、やりかねないわ。 [リュール] ヴェイルは母さんの仇です。事情はどうあれ… その手が母さんを殺したことに変わりはありません。 でも今は、心配なんです。 無事でいてほしいと思ってしまう。 [アルフレッド] 確かに、同情の余地はあるように感じたよ。 危険を冒してまで、指輪を此方に渡したのだから。 [アルフレッド] [ミスティラ] 罠って可能性もあるよ。ぜんぶ演技なのかも。 指輪を渡して信用させた可能性もゼロじゃないよ。 [アイビー] [ディアマンド] 一理あるな。 今はまだ、結論が出せん。 [リュール] …それでも私は、ヴェイルを信じたいです。 [ヴァンドレ] 失礼します、神竜様。 前方にイルシオンの船が。こちらに近づいてきます。 [リュール] まさか、四狗が足止めに? [ヴァンドレ] 奴らの姿は確認できませぬ。 しかし、敵意を持っての接近であることは確かかと。 [リュール] この海上で、うまく撒くことは難しそうですね。 応戦しましょう。皆、戦闘準備を! [リンデン] ハイアシンス様がいなくなってから、 イルシオンは変わってしもうた… 兵たちは四狗とやらの言いなりで、話も聞かん。 わしは本当に、ここで戦うべきなのじゃろうか… [アルフレッド] 敵に囲まれているね… 神竜様、この船には砲台があるんだ。 撃った先には炎が上がる。 味方も巻き込む危険はあるけれど、 上手く使えば、敵の足止めができるかもしれない。 --- ED --- [リュール] イルシオン王国が見えてきました。 [アイビー] …戻ってきたのね。 [リュール] 平気ですか、アイビー王女。 [アイビー] イルシオンがどうなっていたとしても… 私たちのやることは変わらないわ。 もう少し北上したところに、氷に覆われた ジーヴル港があるの。そこから上陸しましょう。 [リュール] わかりました。 [アイビー] 王城や大教会から然程離れていないから… 今のイルシオンの情報が聞けるかもしれないわ。 …行き先を伝えてくるわね。 [アイビー] [オルテンシア] [リュール] ………… 紋章士マルス、セリカ、ミカヤ、ロイ…… あなたたちを取り戻せないまま、ここに戻ってきました。 今度こそ、きっと迎えに行きますから。 それまでどうか待っていてください。 [シグルド] …イルシオンか。 同胞と分かたれた地に戻るというのは、 このような心持ちなのだな。 [ルキナ] 残りの皆を奪還さえできれば… やっと、千年に一度の力を与えられますね。 [シグルド] それから、我々紋章士のみが知る もう一つの力の行使も可能となる。 [ルキナ] [エイリーク] 今回は奇跡が起こせるかもしれません。 もし皆で願えば、ルミエルさんのことだって… [シグルド] [アイク] …俺は反対だ。 先のことを考えるのなら、 あれは使うべきじゃない。 [エイリーク] [リン] 同感ね。この先も続く未来を思うのなら、 特定の存在に肩入れすべきじゃないのかも。 [アイク] [リーフ] 肩入れ…? あの悲劇を回避したいと思うのは当然じゃないか? [リン] [カムイ] ですが、私たち各地の指輪は、 そちら側で何があったのか殆ど知らないんです。 [カムイ] [ベレト] 王城にいた者と、そうでない者の認識が違うのは、 仕方のないことだ。 …これでは、今回も難しそうだな。 [リーフ] [ルキナ] あれは…千年に一度の力と違い、 一度も発動したことはありませんから。 千年前も、その前だって… [ベレト] [シグルド] 代償を思えば、行使すること自体 忌避すべきかもしれないがな。 ………… …ここにいない者達は、 どう思っているのだろうか。 --- EV --- [シーフ] ひひ、派手にやってるねえ。 貰えるもの貰って、ずらかることにするぜ。 --- MOVIE --- --- BT --- [リンデン] ここで戦い、死ぬならばそれも良い… 向こうで妻が、待っているじゃろう… " [イルシオン兵] * [イルシオン兵] [イルシオン兵] [ボス] あの御方のため… その意志は今も変わらず、戦うのみ。 " [イルシオン兵] 0 [イルシオン兵] [イルシオン兵] [ボス] 貴様…裏切ったのか! [リンデン] わしはイルシオンのために戦っておる。 道を違えておるのは、果たしてどちらかのう。 " [イルシオン兵] ( [イルシオン兵] [イルシオン兵] [ボス] 報いを…受けたか…… 海路の…死守…叶いませんでした…… --- DIE --- [リンデン] 戦えぬ老いぼれは…邪魔になるのう… 撤退じゃ…… [リンデン] わしは…十分生きた… 今…そちらに…行くからのう……