=== 第19章 死の港町 === (ジーヴル港) 海路での刺客を退けた神竜軍は、 イルシオンの活気ある港に到着する。 --- OP --- [セピア] 戻ったわ。 [マロン] セピア。おかえりー。 ソンブル様へのご報告はどうだった? [グリ] 指輪を取られちまったこと、怒ってたか? [セピア] …ええ。 [グリ] ああーー! やっぱりな! 今から仕置きか? それとも処刑か? [セピア] 仕置きも処刑もないわ。 事の重大さをわかっておけと、それだけよ。 [マロン] それだけ? やっぱボクたちって、特権階級ってやつなのかな? だったら気分いーい! [セピア] それで、ヴェイル様の御様子は? [モーヴ] まだお目覚めになられない。 やはり無茶な術をかけすぎたのでは? 暫くの間、元のヴェイル様の状態にして差し上げて 様子を見ては… [セピア] そのことについては憂いがなくなりそうよ。 ソンブル様から魔法具を賜ったの。 [モーヴ] なに? [セピア] ソンブル様のお力が込められていて、 私の術の力を何倍にもするものらしいわ。 これさえあれば、今度こそ欠陥品の存在を消せるかも。 早速、試してみましょう。 次はソンブル様に良いご報告ができるようにしないと。 [グリ] そういや、さっき兵から報告があったぜ。 海上に、神竜率いる軍勢を確認したってよ。 足止めは失敗したらしい。 [セピア] 思っていたより早かったわね。 [グリ] ここに来るのも時間の問題だな。 [マロン] 時間稼ぎが必要? じゃあじゃあ、ボクが行くー! [セピア] マロンはいい子ね。 でも、さすがに一人じゃ危ないから… モーヴ。 貴方も一緒に行ってあげて頂戴。 [モーヴ] …承知した。 [マロン] ボク一人でも大丈夫なのに。 [セピア] そういうわけにはいかないわ。 マロンは偉い子だから、モーヴともうまくやれるでしょ? [マロン] もちろん。 その代わり、成功したらうーんと褒めてね! [モーヴ] セピア。俺からも条件が。 ヴェイル様に術をかけるのは、俺が戻ってからに。 [セピア] …わかったわ。 [モーヴ] 恩に着る。では。 [マロン] 行ってくるね、セピア! [モーヴ] [マロン] [セピア] ………… [グリ] モーヴのやつ、 いやに元のヴェイル様に入れ込むよな。 [セピア] そうね。でも今のところ、 私の邪魔はしてこないのだから見逃すわ。 従順でありさえすれば…愛してあげる。 私たち四狗は家族なのだから。 それより、グリ。 ヴェイル様のごきょうだいの話は覚えている? [グリ] ああ、貰った竜石が割れてないとかなんとか… [セピア] その件で確かめたいことがあるの。 一緒に来て。 [リュール] ここがジーヴル港ですね。 何事もなく上陸できてよかったです。 [アイビー] ………… [リュール] どうしました? [アイビー] 静かすぎるわ。 この港町にはもっと活気があったはず… [リュール] あちらに人影が見えましたよ。 少し話を聞いてみましょうか。 [アイビー] 待って、神竜様。あれは…! [アイビー] [リュール] [異形兵] " [異形兵] [グレートナイト] グルル… " [異形兵] [グレートナイト] [リュール] 異形兵!? [アイビー] この気配…一体だけではないようね。 [リュール] 町じゅうに蔓延っているようです。 これでは、もう… [アイビー] …ええ。 [ディアマンド] あの邪竜は、イルシオンも亡ぼそうというのか? [アルフレッド] このままにはしておけない。 異形兵を倒さないと! [リュール] …いいえ。先に進みましょう。 [ディアマンド] [ミスティラ] ま、待って。民を見捨てるっていうの? アイビー王女は、それでいいの? [アイビー] それが…最善だと思うわ。 [アルフレッド] なぜだい? いかなる状況であろうとも、 民を助けることは僕たちの使命だ。 襲撃されたフィレネでだって、 そうしてきたじゃないか…! [リュール] フルルの港では…襲撃が起こった直後で、 助かる可能性のある人が大勢いました。でも… ここは町の様子から判断するに、 落とされてから時間が経ってしまっています。 ジーヴル港の民たちはおそらく、 既に全員、異形兵に… [アルフレッド] …! [アイビー] 私だって、民を救いたい… その気持ちは同じよ。 けれど、時間が経てば、 より多くの命が奪われるかもしれない。 ここで時間を使えば、死んでしまった民のために… 今生きているたくさんの民を殺すことになるわ。 [ミスティラ] …そういうことか。 [アルフレッド] 辛い判断だが…理解したよ。 僕はまだ、甘かったようだね。 [ミスティラ] [ディアマンド] 神竜様は、アイビー王女のその考えを 察していたというわけか。畏れ入る。 [リュール] いえ、そんな… [アイビー] ありがとう…神竜様。 このまま、王城に向かいましょう。 [アイビー] [リュール] [マロン] あーあ。切り捨てるほう選んじゃったかあ。 [リュール] 誰です!? [マロン] やっほー。 四狗のマロンちゃん、それからモーヴ参上だよ。 [モーヴ] 久方ぶりだな。 [マロン] 異形兵を倒すほう選んでくれたら 足止めの必要がなくてラクチンだったのに。 そういえば神竜様は異形兵が怖いんだっけー? もしかして怖気づいた? [アイビー] 違うわ! 神竜様は民たちのことを思って…! [マロン] あーはいはい、王女様。 面倒だからもうそれでいいや。 お察しの通りこの港はとっくの昔に落ちてるんだけど… すぐに先に行かれちゃうと困るんだよね。 あ、指輪を置いていくなら通してあげてもいいよ。 [リュール] お断りします。 [マロン] だよね? 知ってる。でもどのみち、 ボクたちを倒さないと先には行けないよ。 異形兵も特別にたくさん呼んできちゃったから… 諦めて戦おっか。 [リュール] 一つだけ教えてください。 [マロン] なに? [リュール] ヴェイルは無事なんですか。 [モーヴ] ヴェイル様のことが気がかりか。 あの方は… [マロン] モーヴ。 情報なんか渡さなくていい。 …その質問には答えられないよ、神竜。 ボクたちからキミにあげるものは何もない。 ボクたちと戦って無様に負けて、 その死体になら答えを教えてあげてもいいけど。 [リュール] ではこちらも力ずくで聞かせていただきます。 この場所で、生きている人に出会ったのは… あなたたちが初めてですから。 [マロン] p0Tex Event ItemPicture 058picture itemL fade in normal p 0Tex Event ItemPicture 068picture itemR fade in normal モーヴ、これ。 $ [モーヴ] 紋章士の指輪… セピアが持たせてくれたのか? [マロン] @:picture itemL fade out normal @ :picture itemR fade out normal 勝手に借りてきちゃった! [モーヴ] なんだと!? そんなことをしたら… " [マロン] 怒られる? 罰される? そんなわけないよ。 ボクたち四狗はソンブル様のお気に入りなんだもん。 それより、ここで一つでも指輪を奪って帰れば、 きっともっと褒めてもらえるよ! " [モーヴ] そのような理由で、許される事ではないぞ! [マロン] お説教なんて聞きたくなーい! いいからそれ使って戦うよ。 ボクの足引っ張ったら許さないんだから! --- ED --- [マロン] ゆ、指輪…指輪…とられちゃった…! [モーヴ] 撤退するぞ、マロン! [マロン] 嫌だよ、戻れない! これじゃ褒めてもらえない… ソンブル様に、セピアに怒られちゃうよ…! [モーヴ] 怒られるわけがないと言っていたのは誰だ! 早く戻らねば、ヴェイル様が…! [リュール] 待ってください。 ヴェイルが、どうしたんですか!? [モーヴ] ソンブル様は新たな魔法具をセピアに下賜された。 あれを行使すれば、ヴェイル様は… もう二度と、お目覚めになられない。 [リュール] …! [モーヴ] 皆はそれを望み、喜ばしく思っているのに、 俺はただ、可哀想だと…ずっと… [リュール] あなたは、本当のヴェイルを守りたいのですね。 [モーヴ] …話しすぎた。 マロン、俺はただ一人でも戻る。 [モーヴ] [マロン] あ、待って! 待ってよ!! [マロン] [リュール] ………… [アルフレッド] 追わなくて良いのかい? [リュール] 指輪は取り戻しましたから。 それに… 今、ヴェイルの傍には、 あの人がいた方がいいような気がして… [リュール] ようやく取り戻せました。おかえりなさい。 紋章士ミカヤ、紋章士ロイ。 [ミカヤ] いつか戻れると信じていたわ。 ありがとう、 。 影の原野、そしてフルルの港で、 あなたたちと戦うのは本当に辛かった… [リュール] これからはずっと一緒です。 辛い思いをさせて、すみませんでした。 まさかイルシオンが、 異形兵の徘徊する国になっているなんて… [ロイ] イルシオンに異形兵が増えているのは 間違いなく邪竜ソンブルの仕業だ。 奴は今、王の血だけでは足りないと… イルシオン兵に命じて民たちを連れ去っている。 血を吸われた者は異形兵と化し、 国中に広がっているのだと思うよ。 [リュール] では私たちは… かつてのイルシオンの民を? [アイビー] ………… 急ぎましょう。大量の異形兵が国の外に出れば、 ソルムやブロディア、フィレネも同じことになるわ… それに、まだ持ちこたえている民たちが いてくれるはずよ。 [リュール] イルシオン城へ急ぎましょう。 四狗がわざわざ足止めに来たということは… 奴らには、私たちに来てほしくない 理由があるはずです。 --- EV --- [ザフィーア] 神竜様たちの船はここかい!? あーあ、異形兵がこんなに… こりゃ合流前に、ひと暴れするしかなさそうだねえ! $ [異形兵] [異形兵] [ウォーリアー] ギャオオッ!! " [異形兵] [異形兵] [ベルセルク] グルル…ッ!! [アルフレッド] 神竜様。船にある『火炎砲台』はまだ使える。 これで瘴気を吹き飛ばし、有利に戦おう! --- MOVIE --- --- BT --- [マロン] ボク、期待されてるんだよね。 そろそろお手柄を上げたいから…早く死んでよ。 [マロン] は…? ウソ… なんでボクが、ボクが…っ!! [モーヴ] お前たちを片付け、 早くヴェイル様の元に… [モーヴ] 任は…果たせなかった… しかし、これで…… [マロン] ボクらが本気出したら負けないんだから! やるよ! 紋章士ロイ! [モーヴ] 負担を強いることは承知の上… 堪えてくれ、紋章士殿。 --- DIE --- [ザフィーア] まずいねえ…援軍として来たつもりが、 これじゃ足手まといだ…撤退するよ…! [ザフィーア] みすみす死にに来たって…ことかい… 情けない…ねえ……