=== 第21章 帰還 === (神竜王城) グリから真実を聞かされた一行は、 邪竜の後を追い、リトスの神竜王城へ。 --- OP --- [モーヴ] 着きました。 ここに我々の船があります。 [リュール] 案内ありがとうございます。 [マロン] あ、来た来た、モーヴ! 言われた通り 先に来て準備しといたよ、褒めてー…って、 なんで神竜がいるの!? [リュール] …マロン。 [マロン] 何の用!? ボクたちもう指輪持ってないよ! [モーヴ] 故あって、共にリトスまで行くことになった。 [マロン] は? [モーヴ] 神竜殿。俺とマロンは今、指輪を奪われた失態で セピアに見限られた状態です。 謀って船上で急襲しようなどという肚はありません。 あなた方を無事にリトスまで送り届けます。 どうか共に来てくださいますか。 [リュール] ここまで来たら、私はあなたを信じます。 よろしくお願いします。 [マロン] は? は? 意味が分からない。 敵だよ? なんで仲良く一緒にリトスに? [モーヴ] 俺が頼んだ。 神竜殿には、ヴェイル様に会っていただく。 [リュール] 此方に戦意はありません。 仕掛けてこなければ手出しはしませんよ。 [マロン] それってボクが手を出したら殺すってことだよね!? 勝手に話進めないで、説明して! [モーヴ] 時間がない。詳しいことは船上で話す。 了承しないならば置いて行くぞ。 [マロン] ちょっ…待って待って! モーヴ!! わかったよ! わかりました! リトスの地につくまでは一時休戦! セピアたちのとこに戻るためには、これしかないもんね。 [モーヴ] 話はまとまったな。 神竜殿、参りましょう。 [リュール] はい。 [マロン] ええええーー!? キミが、ソンブル様の御子だったあ!? [リュール] …はい。 [マロン] じゃ、じゃあ…ヴェイル様が探してたきょうだいって、 キミのことだったんだ!? だからリトスの地に連れて行くことにしたのかぁ。 この事、グリたちは知ってんの? [リュール] グリは…私にそれを告げた張本人ですよ。 [モーヴ] 確かめるためにイルシオン城で戦を仕掛け、 わざと指輪を奪わせたそうだ。 [マロン] はあああ!? なにそれ!! そんな作戦ボクは聞いてないんですけど!! [リュール] ソンブルとヴェイルは、なぜリトスの地に? [モーヴ] 『邪竜の地グラドロン』を復活させるため。 そのように聞いています。 [ヴァンドレ] グラドロンを…!? [リュール] ヴァンドレ、知っているんですか? [ヴァンドレ] はい。 グラドロンは千年前、海中へと封印された地。 ソンブルが統べていた王国だと聞き及んでおります。 リトスの地が聖なる気で満ちているのに対し、 グラドロンの地は邪悪な気で満ちていたとか。 [ヴァンドレ] [モーヴ] グラドロン浮上のためには、 リトスの地にある『神竜紋』を破壊しないといけません。 神竜紋はグラドロンを抑え込んでいる封印の紋章… ソンブル様にとっては目障りな存在だったのでしょう。 [リュール] ソンブルの望みは、 グラドロンの地を復活させることだったのですね。 [モーヴ] 望みという括りで言えばそうです。 しかし、最終的な望みは…異界への侵攻。 [リュール] い、異界…!? [モーヴ] このエレオス大陸だけではなく、異界全てを 手中に収め支配することがあの方の望みです。 [リュール] ま、待ってください。異界の支配だなんて… そんなことができるんですか? [モーヴ] 俺にもわかりません。ソンブル様はこのことについて 詳しくは話をしてくださらなかったので。 ですが、その望みのために… ヴェイル様はずっと、駒として使われてきたのです。 [リュール] 聞かせてください。ヴェイルのことを。 ヴェイルは、なぜあんな風に扱われているんです? 欠陥品と呼ばれているのも聞きました。 [モーヴ] ヴェイル様には…竜の王族であれば当然にあるはずの、 紋章士を顕現する力が無いのです。 もっとも、わかったのはごく最近。 ソンブル様が目覚め、ヴェイル様と再会されてからです。 末子であったヴェイル様は、千年前の戦争中はまだ幼く… 戦に出ることも、紋章士と関わることもなかったので。 [リュール] 千年前、私は一度だけヴェイルと会ったようですね。 以前、ヴェイルから聞きました。 [モーヴ] かつては多くのきょうだいがいたそうです。 しかし皆、戦いの中で散りました。 …あなた一人を除いて。 [リュール] ………… [モーヴ] その後、ソンブル様は封印され、母君も亡くなり、 ヴェイル様はたった一人で生きてこられたと聞きます。 しかしどこに行っても、『邪竜の子』がいると噂され、 友もできず、守ってくれる者もおらず… 隠れて暮らしながら、見つかれば殺されるという 恐怖と戦っておられたそうです。 [リュール] そうやって…千年間ずっと? [モーヴ] ずっと起きておられたわけではありません。 数百年前、邪竜を崇拝する民たちに保護されてからは… ソンブル様の封印が解ける少し前まで、 隠された神殿内で眠っておられました。 その時の民たちとは仲良くできたようですが、 当然ながら、目覚めた時にはもう… [リュール] 民たちは、寿命を迎えていたでしょうね… [モーヴ] ヴェイル様はソンブル様と再会されるとき、 とても喜んでおられました。 しかし…ソンブル様は、その心も能力も 邪竜らしくないヴェイル様を欠陥品と忌み嫌われた。 セピアを使い、ヴェイル様の心だけでも従順に、 自分に都合の良いように作り替えようとされたのです。 ヴェイル様は、お生まれになってから千年余り… いえ、今もずっと、孤独なままなのですよ。 [リュール] そう…ですか… [マロン] ううっ!! [モーヴ] どうしたマロン、船酔いか。 [マロン] ちがうよ! 涙!! まさかヴェイル様がそんなに可哀想だったなんて。 もっと優しくするべきだったかな。 ボクも大概だと思ってたけど、それより悲惨… [モーヴ] そういえば、 マロンの昔話を聞いたことはなかったな。 [マロン] ボクのはホント、よくある話。 母さんに捨てられただけ。 男兄弟がいっぱいいたから… 女のボクはいらなかったんだ。 あんな役立たずのゴミどもなんかより、 ボクのほうがずっと優秀だったのに… お手伝いだって一番してたのに、 母さんは一度も褒めてくれなかった。 はじめて連れて行ってくれたお散歩も、 ボクを捨てる場所を探すためのものだったし。 手を繋いで、色んな場所を歩いて、最後に… 母さんはボクを、教会の前に置いて行っちゃった。 [リュール] …なんてことを。 [マロン] いいけどね。教会の神父様は優しかったし、 ソンブル様の復活のために尽くしたら、皆褒めてくれた。 おかげでセピアに見初められて、四狗に大抜擢。 一人じゃなかっただけ、ヴェイル様よりは全然まし。 [モーヴ] 四狗は、竜族のセピアを除いて、 元々は敬虔な邪竜信徒なのです。 [リュール] モーヴもですか? [モーヴ] 俺はヴェイル様の眠る、隠された神殿の信徒でした。 ヴェイル様がお目覚めになったあと… 話し相手としてお傍にお仕えしていたところ、 畏れ多いことに友達になってほしいと言われまして。 しかしそれだけはと遠慮したところ、 友達が駄目なら騎士となってほしいと。 [リュール] それを了承したのですね。 [モーヴ] 断る道理はございませんので。 [マロン] はー、モーヴは四狗の特別枠だったんだね。 王族の指名があったとかすごいじゃん、見直したよ。 騎士かあ…カッコ良くって憧れるよね。 [モーヴ] お前が望むのなら、 ヴェイル様は騎士として受け入れてくださると思うぞ。 [マロン] えー。やだよ。モーヴと一緒なんて。 キミは褒めてくれないからキラーイ。 [モーヴ] そうか。 [マロン] それにボクの居場所はもう決まってるから。 やっぱり、セピアのところに早く帰りたい。 …てか、モーヴはソンブル様の居場所をばらしたうえに 神竜を連れて行くって、たぶん四狗追放だよ。 [モーヴ] 覚悟の上だ。 [マロン] 言うと思った。でもボクは追放される気ないから。 船から降りたら、キミとも敵同士になるね。 [モーヴ] 嫌いな奴と敵同士なら、寧ろ本望だろう。 [マロン] …そうだね。 じゃ、話は終わり。ボクはこれで。 [マロン] [リュール] モーヴ。 色々話してくださってありがとうございます。 リトスの地に着いて、ヴェイルに会ったら… あなたも、あなたの思うように行動してください。 例え、また剣を交えることになっても。 [モーヴ] はい。 [リュール] リトスの地が… こんなに荒れ果てているだなんて… [ヴァンドレ] おそらく、グラドロン復活の予兆… 神竜紋が破壊されつつあるのかもしれませぬ。 [リュール] 早くソンブルを止めないと。 神竜紋はどこに? [ヴァンドレ] かつてルミエル様のいた、王城でございます。 [リュール] こんな形で帰ることになるとは、 思いませんでしたね… [リュール] ここですか、ソンブル! [セピア] 来たわね。 神竜… …いいえ、 偽物の神竜様と言ったほうがいいかしら。 [リュール] ………… [セピア] 随分早かったのね。 どうやってここがわかったというの。 あの子たちもまだ追いついていないというのに… [リュール] [モーヴ] 俺たちならば、此処だ。 [グリ] お前ら、なんでそいつと一緒にいるんだよ!? [セピア] まさか、貴方たちが連れてきたの? 二人とも寝返るだなんて… [マロン] 違う! 違うの!! [グリ] 何が違ぇんだ! [モーヴ] 聞いてくれ。これは俺がしたことだ。 神竜殿に、ヴェイル様と会っていただきたいと… 半ば強引に連れてきた。 マロンはそれに巻き込まれただけだ。 [マロン] モーヴ… [モーヴ] 戻れ、マロン。 [マロン] …でも。 [モーヴ] 何を迷っている。早く行け! [マロン] [セピア] 事情は分かったわ。マロンのことは受け入れましょう。 でも、貴方はどうする気なの? 言い訳次第では、許してあげてもいいけれど。 四狗は家族なのだから。 [モーヴ] 世迷い事を。俺を処分する心算のくせに。 だがその前に、ヴェイル様を神竜殿に会わせてくれ。 [セピア] そんな都合のいい話を…… [グリ] [ヴェイル] 構いませんよ。 丁度私も、会いたいと思っていましたから。 [マロン] はああああ!!!!!! …!? [ヴェイル] ふふ…その程度の攻撃では、 お父様の魔法具はびくともしませんよ。 [マロン] ボクの全力で、壊れないなんて… [ヴェイル] 洗脳を解いてくれようとしたようですが、 私にはこの通り、何の影響もありません。 [マロン] そんな… [セピア] だから、やめなさいと言ったのに。 …いけない子。 [マロン] …………え? [リュール] …!! [セピア] …貴方が悪いのよ。 私の言うことを聞かないから。 [マロン] セピ…ア……? [マロン] [リュール] [モーヴ] マロン!!!! [マロン] モー…ヴ…… …ごめん。ボクじゃ…ヴェイル様… 助けて…あげられなかった…… いつか、元に…戻ったら… ヴェイル…様のこと… がんばったねって… ほめてあげて……ね…… ………… [モーヴ] しっかりしろ! マロン! …マロン…っ!!!! [マロン] ………… [マロン] [セピア] あら、死んじゃったの? 悲しいわ。 [ヴェイル] [グリ] 無駄死にってやつだな… [モーヴ] うっ……うう…… 貴様らああああああああ!! [ヴェイル] 黒 悪 1 [リュール] ヴェイル!? その姿は…!! [ヴェイル] 黒 悪 ふふ…久しぶりですね。 [モーヴ] 貴様ら、ヴェイル様に何をした!! [セピア] 言ったじゃない。 ソンブル様に賜った魔法具で、術をかけたのよ。 [リュール] ヴェイル! 私がわかりますか!? [ヴェイル] 黒 悪 もちろんですよ…生き別れのお兄様。 やっとお会いできて嬉しいです。 [ヴェイル] 黒 悪 もちろんですよ…生き別れのお姉様。 やっとお会いできて嬉しいです。 [リュール] …っ! [リュール] [モーヴ] [マロン] な、なにあれ…術をかけたら、こうなるの? ヴェイル様、もう元に戻らないの? [セピア] 魔法具がある限り、永遠にね。 あの人格はもう、死んだのよ。 [マロン] 死んだ… [セピア] 貴方も嬉しいでしょう。 欠陥品の相手をしなくてよくなったのだから。 [マロン] …ねえ、セピアは、千年前から生きてるのに、 元のヴェイル様のこと知らなかったの? [セピア] え? [マロン] ボクは知らなかった。 だから…あんなひどいことしちゃった。 ヴェイル様は、ずっと一人だったんだって。 お父さんやきょうだいに会うのを楽しみにしてたって。 なのに、何も報われずに、 もう二度と会えなくなるなんて、あんまりだよ。 [セピア] いきなり何を言い出すの…? [マロン] あのね、セピア。ボク…ボク、 褒めてくれるセピアが好きだった。 家族って言ってくれた言葉が、 この居場所が、四狗が大好きだったよ。 でも、やっぱり、これ以上はついて行けない! 誰に褒められなくたって、 ボクはボクの正しいと思ったことをする! [セピア] マロン!? [マロン] 魔法具を壊せばヴェイル様の洗脳は解ける! だったらボクが…粉々に壊してやる!! [セピア] ダメよ! やめなさい!! [リュール] マロン。あなたは…ヴェイルを元に戻したいと、 そう思ってくれたんですね… それなのに…こんなことって…! [モーヴ] 俺は…俺はもう、貴様らの元になど戻らん!! 神竜殿、頼みます! どうか… どうか俺も共に戦わせてはくれませんか! 同胞の仇をとるため、 そして、ヴェイル様をお救いするために! [リュール] モーヴ… はい、あなたが望むのなら。 [グリ] [ヴェイル] 黒 悪 1 [ヴェイル] 黒 悪 裏切ったのですね、モーヴ。 私は悲しいですよ。 貴方もです、お兄様。 せっかくの妹との再会を、もっと喜んでくださいよ。 貴方もです、お姉様。 せっかくの妹との再会を、もっと喜んでくださいよ。 [リュール] あなたはヴェイルじゃない。 前にも、そう言ったはずです…! [ヴェイル] 黒 悪 あら。見た目が変わったのがいけなかったですか? ではこの子も、もうお友達ではありませんね。 [セピア] [リュール] …マルス。 [ヴェイル] 黒 悪 仲間の紋章士も奪われて、貴方にも見限られて、 この子は一人ぼっち… わたしとおんなじ。可哀想な子。 でも、私がいてあげます。私だけがいればいい。 もう一人のわたしはどうだったか知りませんが…私は、 生き残りのきょうだいがいたら、殺したかったんです。 同じ血を継ぐ存在など不要なのですよ。 私こそがお父様の唯一無二の御子であればいい。 [リュール] そうやってあなたはずっと、独りでいるのですか。 [ヴェイル] 黒 悪 ええ、そうです。 私は只一人、絆も何もいらないのですよ。 わざわざ指輪を運んできてくれたこと、感謝します。 これで貴方はもう不要… さっさと死んでください、お兄様。 さっさと死んでください、お姉様。 [リュール] ヴェイル… --- ED --- [ヴェイル] 黒 善 1 [ヴェイル] 黒 善 ううっ… わたし…一体何をして…… … ? どうしてここに? [リュール] ヴェイル! あなたなんですね! [リュール] [ヴェイル] 黒 善 [セピア] なんですって…? もう二度と、元には戻らないはずよ。 …! 魔法具に、ヒビが… [セピア] [モーヴ] なんだと? さっきの…マロンの攻撃で? …っ、よくやった、マロン… お前は、とても勇敢だった…! [モーヴ] [ヴェイル] 黒 善 1 [ヴェイル] 黒 善 ここは、どこ? [リュール] リトスの神竜王城です。 あなたはずっと操られていたんですよ。 [ヴェイル] 黒 善 頭が…すごく痛い。 それに、この格好… あれ…? わたしの手、指輪が嵌まってる… これは、あなたが大切にしていたものね。 デスタン大教会の近くで見たのを、覚えてるわ。 あなたに…返すね。 [リュール] ありがとうございます、ヴェイル。 [ヴェイル] 黒 善 [ソンブル] そうはさせぬぞ。 [リュール] !! Default [ヴェイル] しっかりして、 ! なんで庇ったりしたの…! [リュール] 体が、勝手に…動いてしまいました… 今まで、ヴェイルを…守れなかった分を… どうしても…取り戻したかった… ごめんなさい…ヴェイル。 酷いこと言いましたね… [ヴェイル] そんなの、謝らなくていい。 死なないでよ…! [リュール] だいじょうぶ…私は、死にませんよ… [リュール] まだ、やるべきことが、ありますから… それから、あなたに話したいことも、たくさん…… ヴェイル、私は、あなた…の…… ………… [リュール] [ヴェイル] ? うそ…いやだよ、返事して! 返事してよ、 ! [ソンブル] これで邪魔者はいなくなったな。 [ヴァンドレ] 神竜様が…亡くなられた…… [ヴァンドレ] [アルフレッド] そんな…嘘だ…っ!! [アルフレッド] [ヴェイル] 竜石が…? [アルフレッド] [ヴェイル] どうして… [ソンブル] 其奴は我が子の生き残り。 [ソンブル] お前がずっと探していた… [ソンブル] 兄だ。 [ソンブル] 其奴は我が子の生き残り。 [ソンブル] お前がずっと探していた… [ソンブル] 姉だ。 [ヴェイル] え… [ソンブル] 千年前の戦の後、神竜に匿われたようだが… その生まれは覆せぬ。 神竜として生きるなど愚かなこと。 こうして死ぬことこそが運命だったのだ。 [ヴェイル] そんな…でも、この石は… この石が割れるときは…… …あなたが、お兄ちゃんだったなんて。 やっと、やっと会えたのに… …あなたが、お姉ちゃんだったなんて。 やっと、やっと会えたのに… たくさんお話ししたかったのに! わたしなんか、庇わなくてもよかったのに!! ううっ…うわあああ……!! [ソンブル] 哀れな子らよ。 これで十二の指輪は全て揃った。 [ヴェイル] だ、だめよ! 返して!! それはお兄ちゃんの…! [ヴェイル] だ、だめよ! 返して!! それはお姉ちゃんの…! みんなが集めた大切なものなの!! [ソンブル] もう遅い。 紋章士の指輪…すべて手に入れたぞ。 千歳に一度の力、 貰い受けるはこの私だ…! [ヴェイル] 黒 善 2 [ヴァンドレ] なんということだ… グラドロンが復活してしまうだなんて… [ヴェイル] 黒 善 パパ、あなたは一体、どこへ行くの… 何もかも壊して、自分の子まで殺して… それで満足なの… [ヴァンドレ] [セピア] これにて形勢は大逆転。 もうおしまいですわねえ、皆さん? [ヴェイル] 黒 善 セピア、あなた…! [セピア] 欠陥品のヴェイル様。 せっかく庇われて生き残ったのに… もうお別れだなんて、残念ですわ。 [ヴェイル] 黒 善 お別れ? …ううっ!? あ、頭が…! [モーヴ] ヴェイル様!? [ヴェイル] 黒 善 嫌よ…もう…! 違う私になんか…なりたくない…! [モーヴ] 魔法具はマロンが壊したはずだ! [セピア] 馬鹿ね、モーヴ。ヒビが入っただけよ。 確かにそれで魔力の増幅は弱まったけれど… ソンブル様が完全に復活なされた今、 そのお力は、ヒビが入った程度で防げないわ。 [モーヴ] なっ…! [セピア] さあヴェイル様… 今一度、私たちと共に来てくださいな。 [ヴェイル] 黒 悪 2 [ヴェイル] 黒 悪 くっ……うう…… ふ、ふふふふふふ…!!!! [モーヴ] …そんな! [ヴェイル] 黒 悪 あははは! 凄まじい力を感じます! ついにやり遂げられたのですね、お父様! 神竜はこの手で殺したかったのですが… 仕方がありませんね。 [セピア] ああ、ヴェイル様。今の貴方様でしたら ソンブル様も受け入れてくださいますわ。 [グリ] 戻られて何よりだ。 でなきゃオレたちが弑逆するとこだったぜ。 [ヴェイル] 黒 悪 セピア、グリ。貴方がたはお父様の元に。 私は後から追いかけます。 [セピア] はっ。 [グリ] やっぱりヴェイル様はこうでなくちゃな。 [セピア] [グリ] [ヴェイル] 黒 悪 [モーヴ] [ヴェイル] 黒 悪 1 [ヴェイル] 黒 悪 さて…放っておいても死ぬとは思いますが、 念のためにゴミどもの後始末を。 この子たちにも手伝ってもらいましょう。 [ディアマンド] 異形兵…! この数は厄介だな。 [ミスティラ] こいつらと… 指輪なしで戦えっていうの? [ヴェイル] 黒 悪 指輪? まだそんなことを言っているのですか。 神竜は死んだのですよ。 紋章士を顕現できる術はもうありません。 [ディアマンド] [アイビー] まずいわ… こんなの、勝算が見つからない… [ヴェイル] 黒 悪 さあ、誰から死にたいですか? 心配しなくてもみんな送ってあげますよ… あなたたちの大好きだった 『神竜 』の元に。 [アイビー] [アルフレッド] この場所で、みんな死ぬのか…? … 僕たちは…どうしたらいい…! --- EV --- [モーヴ] 神竜殿…感謝します。 この力、これより貴軍のために。 --- MOVIE --- [ソンブル] 出来損ないの娘め。 [ヴェイル] パパ… [ソンブル] あと少しというところで絆されおって… [ソンブル] さっさと指輪を奪い返せ。 [ヴェイル] 嫌よ!! [ソンブル] ……そうか、残念だ。 よもやここまで使えぬとはな。 役に立たぬのなら、お前も不要だ。 [ヴェイル] え…!? [リュール] ヴェイル! [ヴェイル] !! [リュール] くっ…! ううっ!! [ヴェイル] ああっ…うそ…!! [ソンブル] 愚かな子らよ。 仕留めるのは二度目だな。 しかし…その傷、もはや千年の眠りでも癒せぬ。 今度こそ… お前の負けだ。 [ソンブル] 十二の指輪よ、我に無限の力を与えよ! ギャオオオオッ!! グラドロンの地よ…今こそ甦れ。 ククククク…… --- BT --- [グリ] おっと…ここまでだぜ… 死んじまったら痛みも…わからねえからな… [ヴェイル] 貴方は誰を見ているんです? 目の前の私? それとも、前のわたしでしょうか。 [ヴェイル] ああ、会いたかった… 殺したかったんです、ずっと。 神竜などに絆された醜くて哀れな存在を、 私のきょうだいだと認めるわけにはいきません。 [リュール] 同感です。私もあなたをきょうだいとは認めません。 …ヴェイルを返してください。 [ヴェイル] 言ったでしょう…私こそがヴェイル! お前を殺して、今この場で証明します! [ヴェイル] あら、わたしの騎士様。 もう守ってはくれないのですか? [モーヴ] はい。四狗でなくなった俺にはもう… あなたをお守りすることはできません。 [ヴェイル] 貴方は相変わらず… 私を見ない。私を呼ばないのですね。 モーヴ。いつか話した、貴方への次のご褒美は… 苦しまずに殺してあげることで、如何でしょう。 [モーヴ] …ヴェイル様は必ず取り戻す。 どうか見守っていてくれ… …マロン…! [ヴェイル] うう、うっ…! 私は… わた…しは…… [セピア] ヴェイル様が、貴方がたの死を望まれていますの。 悪く思わないでくださいな。 [セピア] 悲しいわ、モーヴ。 貴方と戦うことになるだなんて… 私たちは家族だと思っていたのに… [モーヴ] 家族だと…! マロンを殺した貴様が何を言う…! もっと早くに止めるべきだった。 そうすればヴェイル様も、マロンも…! [セピア] さすが、ここまで来ただけのことは… あるということね…… [グリ] Relax [グリ] 四狗が欠けようが関係ねえ… オレは戦うだけだ。胸も痛まねえよ。 [グリ] 裏切者のモーヴじゃねぇか。 すぐにマロンの元に送ってやるぜ。 [モーヴ] …その名、軽々しく口にするな。 貴様らのことは決して許さん…! 痛みも感じぬ間に葬ってやろう。 慈悲ではなく…最大の侮辱として! --- DIE ---