=== 第25章 最後の門番 === (グラドロン神殿) 千年前の自分と邂逅した神竜。 残すは最後の邪竜紋のみだが、そこには… --- OP --- [リュール] 最後の竜紋は、この城の中ですか。 [ヴェイル] うん… [リュール] どうしたんです、ヴェイル。顔色がよくありません。 やはりもう少し休んでから来た方が… [ヴェイル] 違うの。あのね… お願いがあるの。 この中には、わたし一人に行かせてほしい。 必ず竜紋を壊して戻ってくるから。 [リュール] 何を言うんです! そんな危険なこと、承知できません。 [ヴェイル] お願い。言う通りにして。 今回の敵とは戦わない方がいい。 戦えば絶対に後悔する。 お兄ちゃんも、仲間のみんなも。 戦えば絶対に後悔する。 お姉ちゃんも、仲間のみんなも。 [リュール] いったい、何を言って… [ヴェイル] . [ルミエル] … ? [リュール] え? [ルミエル] そこにいるのは、あなたなのね? [リュール] 母…さん…!? [ルミエル] ああ… 会いたかったわ、私の愛しい子…! あなたの気配がして、 早く会いたくて、とんできたの。 [リュール] そんな。どうして… [ルミエル] 久しぶりね…! [ヴェイル] それ以上近づかないで! 神竜…いいえ。異形兵ルミエル。 8 ルミエル"MPID MorphLumiere [ルミエル] まあ、せっかく会えたのに。 [ヴェイル] 竜紋を置いて出てくるなんて。 誤算だったわ。 [リュール] あれは…あの異形兵は、 ヴェイルが作っていたのですか? [ヴェイル] いいえ、パパよ。指輪の力を得て… 精巧な異形兵を作れるようになったのね。 竜紋を壊させないための策として、 リトスにあった遺体を使ったんだわ。 [リュール] ヴェイルは、この事をわかっていたんですね。 母さんが…異形兵となっていることを。 [ヴェイル] でも…彼女のことは助けてあげられない。 指輪の力を使ってしまった今…ううん、 たとえ使っていなかったとしても、 あれはあなただから起こせた奇跡よ。 異形兵となったものは、もう戻らない。 [リュール] 倒すしかない…ということですね。 [ヴェイル] お兄ちゃんが手を下す必要はないわ。 後は任せて。 [ヴェイル] お姉ちゃんが手を下す必要はないわ。 後は任せて。 [リュール] でも! [ルミエル] 此処は寒いわ。お城の中へどうぞ。 竜紋を壊しに来たのでしょう? 大丈夫、すぐに襲うなんてことはしないわ。 中でゆっくり、お話をしましょ。 [ルミエル] [リュール] 母さん… [リュール] ………… [ヴァンドレ] まさか、ルミエル様が… どうしたら良いのでしょう。 [リュール] …やるしかありません。 ですが、駄目ですね。 こんなに心が乱れるなんて。 [ヴァンドレ] [アルフレッド] 僕らだってそうさ。 信仰の対象を、神を倒すのだから。 [ミスティラ] 神殺し…か。無宗教に近いソルムでさえ、 ルミエル様のことは特別だったのに。 [リュール] 躊躇えば世界が滅んでしまいます。 城の中に入りましょう。 ………… あれ? 扉が開きません。 [アイビー] 見せて頂戴。 これは…中から術がかかっているわ。 何故こんなことを… 中に入れといったのはあちらのはず… [アルフレッド] [ディアマンド] おい、ヴェイル王女がいないぞ。 まさか一人で中に!? [リュール] え…!? そんな! 駄目です、一人で行くなんて! 此処を開けてください、ヴェイル! Default [ヴェイル] …ごめんね、みんな。 [ルミエル] まあ。 来てくれたのは、あなただけなの? [ヴェイル] 我が子に殺されるよりはいいでしょう。 [ルミエル] 勇敢なのね。 お話しできてうれしいわ、ヴェイル。 あなたはあの子の妹なのだそうね。 それなら、私の子のようなものだわ。 母さんと呼んでも構わないのよ。 [ヴェイル] 嬉しい申し出だけど… わたしにはママの記憶があるから、遠慮するわ。 [ルミエル] まあ、お母様の? どのような方なのかしら。 [ヴェイル] 優しくて、温かくて、愛情の深い人だったわ。 物心がついたころには死んでしまったけど… 最期までわたしを守ろうとしてくれた。 いつかパパの封印が解けてしまったら、 その時、間違ったほうに行こうとしていたら、 家族として…止めてあげてと言っていた。 [ルミエル] 私をもう一度殺すというのね? [ヴェイル] ええ。 [ルミエル] …痛かったわ、あの時の魔法。 身体もだけれど…それよりも、心が。 我が子と引き裂かれるつらさで、 どうにかなってしまいそうだった。 あなたさえいなければ、 私はあの子と、ずっと一緒にいられたのに。 [ヴェイル] …否定はしないわ。 元はと言えば、全部わたしのせい。 操られ、あなたを殺め、指輪を持ち去った。 だから、せめてわたしが責任を取る。 恨んでもいいわ。 あなたは…此処で倒れて!! なっ…!? [ルミエル] …あら、この程度? 今の私はソンブル様のお陰で、 前よりもうまく戦えるみたいなの。 あなたとは、 できれば仲良くしたかったのだけれど… あの子とお話しする前に殺されるのは 困ってしまうわ。 一度仕留めたからと見くびっていたのなら甘いわね。 死ぬのはあなたのほうよ… …この欠陥品。 [ヴェイル] くっ! [ヴェイル] [リュール] ヴェイル!! [ヴェイル] お兄ちゃん!? [ヴェイル] お姉ちゃん!? [リュール] 良かった、無事ですね! [ヴェイル] 扉は塞がれていたはずよ。 もしかして… [リュール] すみません。扉は、壊しました。 [ルミエル] …うふふ! まあ、この子ったら。 そうまでして、母さんに会いたかったの? [リュール] 会いたかったですよ…ずっと。 あなたを思い出さない日はなかった。 だからこそ、こんな形で会わなければいけないこと、 ソンブルのしたことに怒りを覚えます。 [ルミエル] どうしてソンブル様を悪く言うの? あの方のおかげで、またお話しができたのに。 [リュール] ソンブル「様」…? やっぱり、あなたは… [ルミエル] 。私はずっと寂しかったの。 千年前の戦争で…私は一人ぼっちだった。 父と母を殺され、仲間も殺され、 それでもただ一人で戦わないといけなかった。 神竜たる私が諦めたら、逃げてしまったら、 世界が道連れになってしまう… …そんな中、あなたに出会ったの。 あなたは無垢で、純粋で、悪意がなくて、 愛情を一つも知らなかった。 敵なのに、どうしても殺す気にはなれなくて。 駄目だと思いながら、あなたと心を通わせた。 あなたが私の名前を呼んだあの日から、 私は一人じゃなくなったのよ。 [リュール] 母さん… [ルミエル] お願い、もう私を一人にしないで。 此処にいて、 。 [リュール] …いいえ。それは、できません。 母さんはあの日、私に… 最後まで戦ってといいました。 何があっても、私が何を思い出しても、 世界に平和をと願っていました。 …ねえ、そうでしょう? [ルミエル] そんなこと、どうだっていいじゃない。 今の私は、あなたといることを望んでいるのよ。 [リュール] …そうですか。 よく、わかりました。 今のあなたに、 あの頃の母さんの意志はありません。 [ルミエル] おかしなことを。私は此処よ。 私があなたの母さんよ、 ! [リュール] いいえ! ずっと会いたくて、大好きだった… あの時の、あの母さんは、もういません! 私は──あなたを倒します。 どんな敵でも立ち向かわないといけないと、 あなたが、そう教えてくれたから! [ルミエル] そんな…悲しいわ。 母さんはとても悲しい。 あなたの妹が、お友達が、あなたを唆したの? 紋章士たちは、竜の守り人は、何をしているの。 誰もあなたを止めないのなら… わたしが、みんな殺すしかないわね。 [リュール] …皆、戦闘準備を。 [ヴェイル] …ごめん。わたし… 倒すことができなかった… [リュール] ありがとう…辛い役目を背負おうとしてくれたのですね。 でも、これは私がすべきことです。 目を背けてしまえば、神竜として、紋章士として… 何より、母さんの子として胸を張れなくなってしまう。 共に戦いましょう。 そして、誰一人欠けずにソンブルの元へ。 [ヴェイル] お兄ちゃん。でも… [ヴェイル] お姉ちゃん。でも… でも、涙が… [リュール] みんな…行きますよ。 母さんの魂を解放し、最後の竜紋を破壊します…! --- ED --- Default [リュール] ごめんなさい、母さん… [ルミエル] …? そこにいるのは…あなた…なの…? [リュール] え…? [ルミエル] その…指輪… 受け取ってくれたのね… [リュール] 母さん、意識が元に…!? [ルミエル] 約束…思い出してくれたの…? [リュール] は…はい! 眠る前にした約束、思い出せました。 私は、紋章士になったんです。 [ルミエル] …紋章士に? まさか、そんなことが… そう…ここまで…たくさん頑張ったのね… [リュール] 母さんに、この姿を見せられてよかった。 いつか、あなたに伝えたかったから。 [リュール] [ルミエル] [アルフレッド] ! ルミエル様の体が、消えていく… [ヴェイル] 異形兵としての体は、役割を終えた… こうなることは…わかっていたわ。 [アルフレッド] [ヴェイル] [リュール] ごめんなさい…母さん。 あなたを、また、一人にしてしまいます… [ルミエル] いいえ…私は…あなたに出会って、 一人じゃなくなったわ… 家族を失って、あなたに出会うまで… ほんの数十年の孤独にすら…耐えられなかったのに… あなたが眠った後の千年間は… いつかまたお話しできるって…そう思うだけで、 少しも、さみしくなんかなかった。 今だって…これからも、ずっと。 [リュール] 私もです。わたしも… あなたにであってから、ひとりじゃなくなった。 だれかとのつながりがあたたかいって、 はじめておもったんですよ。 [ルミエル] …あなたは私の光よ。 私の子になってくれてありがとう… [リュール] ありがとう、かあさん。 わたしはあなたのこになれて、しあわせでした。 いつかまた、あえたら…ゆっくりおはなししましょう。 ゆびきりしてくれますか。 [ルミエル] もちろんよ… 忘れないわ。この約束を…あなたのことを。 ああ、綺麗な…空が見えるわ… まるであなたの目覚めた… あの日のよう…… これからは…この空の先までずっと… あなたが…守っていってね… [ルミエル] [リュール] …かあさん。 [ヴェイル] お兄ちゃん… [ヴェイル] お姉ちゃん… [リュール] …平気です。 悲しむことはありません。 母さんは、在るべき場所に還ったのですから。 きっと、また会えます。 …外に出ましょう。結界を確認しないと。 [リュール] 結界が消えています。 解除には成功したようですね。 [ヴェイル] 空に、大きな穴が… [マルス] あれは異界の扉だ。 ソンブルは既に、扉を開いていたのか。 [ヴェイル] あそこに…パパがいるのね。 [マルス] この状態が続けば異界の力が流れ込み、 エレオス大陸の均衡が崩れてしまう。 そうなれば、この世界は終わりだ。 [リュール] そうはさせません。 母さんに託されたんです、この世界を。 あの空の先まで…今度は私が守らないと。 [マルス] ………… 君の統べる世界は、きっと美しいのだろうね。 [リュール] 急に何を… [マルス] すまない。ふと、思っただけだよ。 [リュール] その時はマルスの力も必要です。 ずっと共に、世界を守っていきましょう。 [マルス] …ああ。 [リュール] 約束です。 [マルス] [ヴェイル] [アルフレッド] 神竜 様の統べる世界、か。 その光景を思うと、士気が上がるよ。 [リュール] みんな。 [アイビー] 今、負傷した兵たちを治療しているわ… 全員動けるようになるまで暫しの休息ね… [アルフレッド] [ディアマンド] 最終決戦を前にし怖気づくのではなく、 明るい希望を描くとは。私も見習わねばな。 [アイビー] [ミスティラ] 全部終わらせたら国を復興して、 そのあとは皆の国も見に行きたいね。 [リュール] なら紋章士たちも一緒に。 彼らはずっと指輪の中にいましたから… 戦が終わったら、世界を見て回ってほしいです。 [ディアマンド] [アルフレッド] そうか。これからは十二の指輪を集めても 誰かが力を得る危険がなくなるから… 各国に託された指輪も、 紋章士が顕現した状態で共にいられるのだね。 [ミスティラ] [ディアマンド] 民たちにも紹介せねばな。 軍神として崇められるかもしれん。 [アルフレッド] [ミスティラ] 野宿するときの話し相手が一人… いや、二人増えるのかあ。 [ディアマンド] [アイビー] 紋章士がいてくれれば…心強いわ。 イルシオン復興の良き相談役となりそう。 [ミスティラ] [アイビー] [ヴェイル] 素敵なことだね、夢を見るって。 現実にするために負けられないって気持ちになる。 少し前までは、そんな気持ち知らなかった… [リュール] 平気ですか。ヴェイル。 次は本当に、ソンブルと戦うことになります。 [ヴェイル] 覚悟はできてる。 今までずっと、刃向かえなかったのは… 親子の絆がとっくに解けてるって 気づきたくなかっただけの、わたしの弱さだよ。 …わたしとパパの間にはもう、 断ち切るような繋がりなんてない。 [リュール] ヴェイル… [ヴァンドレ] 神竜様。 兵たちの治療が終わりました。 [リュール] ありがとうございます。 では皆、出発を… いよいよ最終決戦です。 [リュール] [ヴェイル] [ヴァンドレ] [マルス] ………… …みんな。 君たちはこの旅を経て、とても強くなった。 このままいつまでも、傍にいたい。 共に平和な世界を築いていきたいけれど… …別れの時は、近いのかもしれない。 --- EV --- [ルミエル] 侵入者は排除しないとね。 私の手にはもう、紋章士の指輪はないけれど… " 竜紋の力で、似た攻撃ならできるのよ。 見せてあげましょうか。 [リュール] 母さん、いったい何を…!? …とにかく、身を隠しましょう。 みんな、柱の影に隠れてください! --- MOVIE --- --- BT --- [ルミエル] 私の願いは…あの子と共にいたい。ただそれだけなの。 ねえ…邪魔をしないで? [リュール] 母さん…! [ルミエル] ああ、 … …ここなら存分に鍛錬ができそうね。 紋章士の力がいくら強くても、戦うのは… [リュール] !? 母さん、それは… [ルミエル] 戦うのは…あ、あなた自身…うう、違う… これは…何時の記憶なの… 私はただ、あなたと過ごしたかっただけ。 一緒に話して、お散歩をして、ご飯を食べて… それから、それから…! [リュール] …もういい。もういいんです! 私も、したいことが沢山ありました… でも、できないままでいい。 母さんがこれ以上苦しまない方がいい! 今ならまだ間に合います。 お願い、退いてください。 [ルミエル] いいえ。せっかくソンブル様がもう一度、 私に時間をくれたのだもの…諦めないわ。 相手があなたでも止められない。 だって、待っていたのよ。ずっと待っていたのだもの。 …千年間も…!! [ルミエル] Relax [ルミエル] 久しぶりね、ヴァンドレ。 [ヴァンドレ] …またこうして、 ルミエル様と言葉を交わせるとは。 あの時は…貴方様をお守りすることができず、 申し訳ありませんでした。 そして、もう一度打ち倒すことを、 どうかお許しください…! [ルミエル] Relax [ルミエル] …そんなに畏まらないで。 今のあなたは、あの子の騎士よ。 私のためにも、全力で来てちょうだい。 [ヴァンドレ] …! なぜ… 何故あの時まで遡れぬのでしょう。 あの庭園で、もし、もう一度会えたなら… 私は…貴方様を… …いえ。例えもう一度会えたとしても、 私はまたこの場所で、貴方様を止めるのみ。 参ります、ルミエル様…! [クラン] ルミエル様…僕、僕は… " [ルミエル] しっかりなさい、クラン。 狙いを外さないようにね。 [クラン] ! …どうして…その言葉… [ルミエル] ふふ、そうじゃないと私… すぐにあなたを殺してしまうもの。 [フラン] ルミエル様…私、怯みませんから。 たとえ相手があなたでも…! " [ルミエル] その意気よ、フラン。 あなたの本気を私に見せて。 [フラン] …! どうして。 これじゃまるで、あの時みたいで… [ルミエル] Relax [ルミエル] あの時って、いつかしら。その時に… あなたを殺しておけばよかった? [ルミエル] 何度来ても、同じこと。 あなたに私は倒せないわ。 [ヴェイル] やってみないとわからないよ。 何度も叩き潰されたって、絶対諦めない。 わたしがどうするかで未来が変わるって、 お兄ちゃんが教えてくれたから! わたしがどうするかで未来が変わるって、 お姉ちゃんが教えてくれたから! [ルミエル] まあ、あの子が…? 羨ましいわ。その思い出…その時間… 未来も夢も希望も、 みんな持っているのね… " けれど、そんなもの見たくないわ。 あなたばかり、ずるいじゃない。 目の前からいなくなって。 消えて。今度こそ… …立ち去りなさい。 [ルミエル] …時は…過ぎたわ…もう… 追いつけないぐらい…… --- DIE ---