=== ボネ & アンナ === --- C --- [アンナ] てやーーっ!! [ボネ] おお、見事な薪割りだな。 [ボネ] 薪の大きさも均一で美しい。 素晴らしい職人技だ。 [アンナ] えへへ、そうでしょう。 わたし、薪割りが大とくいなの。 [アンナ] この薪で工芸品を作って みんなに売るのよ。 [ボネ] ………… [ボネ] アンナ。 頼みがあるんだが。 [アンナ] アンナじゃなくて、アンナさん。 [ボネ] …アンナさん。 この薪を私に譲る気はないか? [アンナ] べつにいいけど… ボネも工芸品にきょーみあるの? [ボネ] 悪いがそうではない… 窯の燃料に使うんだ。 [ボネ] 薪の大きさが均一だと、燃焼時間が同じになる… 厳密な温度管理が要求される料理に最適だ。 [ボネ] この薪を使えば私の料理が 格段と美味くなるに違いない… [ボネ] だから、ぜひ頼む。 [アンナ] む、むずかしい話だけど…わかったわ。 そこまで言うなら、とくべつにゆずってあげる。 [アンナ] もちろん、お代はいただくけどね。 [ボネ] ふっ… アンナさんはしっかりしているな。 [アンナ] 一人で生きて行くためには、 しっかりしてなくちゃだめなのよ。 [ボネ] 相応の謝礼は支払おう… この薪には、それだけの価値がある。 --- B --- [アンナ] てやーーっ!! [ボネ] 今日も見事な薪割りだな… [アンナ] もしかしてまた薪がほしくなったの? [ボネ] ああ、その通りだ。 [ボネ] アンナさんの割った薪は、 やっぱり料理の温度管理に最適でな。 [ボネ] 火の通りにむらがでることなく… 理想の料理に仕上げることができた。 [アンナ] そうなんだ。 わたしもしょーばいになって、嬉しいわ。 [ボネ] しかし、どうしてアンナさんは、 薪割りが上手いんだ? [アンナ] う~ん… [アンナ] 里で家族とすんでたときに、 わたしが薪割り当番をしてたからかしら。 [ボネ] 昔から働き者だったんだな。 [アンナ] なんか家族のこと、おもいだしてきちゃった。 さむい日にたべた鮭鍋、おいしかったな… [アンナ] ………… [ボネ] …どうかしたのか? [アンナ] ううん、なんでもない… さぁ、ボネのためにたくさん薪を割るわね! [ボネ] ………… --- A --- [アンナ] てやーーっ!! [アンナ] あれ…うまく薪が割れないわ。 おかしいな… [アンナ] ………… [アンナ] みんな…会いたいよ… [ボネ] アンナさん。 やってるか? [アンナ] ボネ… [アンナ] 今日の薪は売り物にならないわ。 なんだか、調子がわるくて。 [ボネ] 今日は薪を買いにきたわけじゃない… [ボネ] アンナさんのために鮭鍋を作ってきたんだ。 故郷の味に近いといいんだがな。 [アンナ] す、すごーい! 食べてもいいの!? [ボネ] ああ、温かいうちに食べてくれ。 [アンナ] いただきます! [アンナ] もぐ… [アンナ] はぁ…おいしい…体のしんからあったまる… 故郷とおなじ味だわ… [ボネ] そう言ってくれると嬉しい。 作った甲斐があったというものだ。 [ボネ] アンナさんの故郷の郷土料理を調べ… 調味料も揃えて、再現したつもりだが… [ボネ] 同じ味になるかは、賭けだったからな… [アンナ] どうりで、なつかしい味がする。 わたしのために…感激だわ。 [アンナ] わたし、なんだか故郷が恋しくなって、 うまく薪が割れなくなっちゃったの。 [アンナ] でも、ボネの料理を食べたら元気がでたわ。 わたしこれからもがんばれそうよ。 [ボネ] 寂しくなったらいつでも言ってくれ… 料理ならいつでも振る舞えるからな。 [アンナ] ありがとう。 それじゃあ、鍋のお代、払うわね。 [ボネ] お金は不要だ。 アンナさんへの感謝の気持ちで作ったのだから。 [アンナ] ううん。 しょーばい人としてそれはできないわ! [アンナ] それを認めちゃったら、 これからボネに商品を売れなくなっちゃうもの! [ボネ] ふっ…まったく… 本当にアンナさんはしっかりしているな。 [ボネ] では今日は、鍋が美味しいと思った分だけ 薪を譲ってくれ… [アンナ] わかったわ。 とくべつに、サービスしちゃうんだから! --- S ---