=== ボネ & モーヴ === --- C --- [ボネ] いい枝葉の広がりだ。 これは美味くなりそうだな… [ボネ] たくさん水をやるから… 病気をせずに元気に育てよ… [モーヴ] ほう。 ここがボネの菜園か。 [ボネ] モーヴか… [モーヴ] 周辺警備をしていたらボネが見えてな。 なんの野菜を育てているんだ? [ボネ] この時期は、数種類の葉野菜だな。 実をつけるものも、いくつかあるが。 [ボネ] 自分で育てた野菜ほど美味いものはない… 軽く火を通して食べるだけで絶品だ。 [モーヴ] よく見ると花も育てているようだが、 料理に使うのか? [ボネ] ここで育てている花は観賞用だ。 [ボネ] 美しい花の匂いを嗅ぐと心が癒やされる。 モーヴも嗅いでみるといい。 [モーヴ] ………… [モーヴ] 優しくて柔らかい… いい香りだ。 [モーヴ] 確かに心が落ち着くな。 まるで時間の流れが変わったかのようだ。 [ボネ] モーヴは働き詰めなのだろう。 たまにはここで疲れを癒やすといい。 [モーヴ] そうだな… [モーヴ] では、仕事の合間に ときどき立ち寄らせてもらうとしよう。 --- B --- [モーヴ] この花もいい匂いだ… なんという名前なんだ? [ボネ] それはジャスミンだな。 この菜園の中でも特別いい香りのする花だ。 [モーヴ] ボネの菜園は素晴らしいな。 心が洗われるようだ。 [ボネ] モーヴはすっかり私の菜園の虜だな… [ボネ] よければここで採れた野菜を調理してやろう。 感動するほどに美味いぞ… [モーヴ] いいんだ。 そこまで気を遣うことはない。 [モーヴ] こんな気晴らし… 俺には贅沢すぎるのだから。 [ボネ] 贅沢すぎるだと…? 気晴らしぐらいは誰だって必要だろう。 [モーヴ] ………… [モーヴ] …俺は四狗の一員だったんだ。 [モーヴ] その贖罪を込めて、 弱き者を守るために働いている。 [モーヴ] そんな人間が気晴らしなど。 少しばかり自分に甘くしすぎたようだ。 [ボネ] モーヴ… [モーヴ] ボネ、すまなかった。 俺はもうこの菜園にはこない。 --- A --- [モーヴ] ………… [ボネ] モーヴ。 お前に渡したい物があるんだ。 [モーヴ] これは…ボネが育てた野菜か? [ボネ] ああ。美味そうだろ…? お前に食べてほしいんだ。 [モーヴ] ボネ。 前にも言ったが、俺は贅沢はしたくないんだ。 [ボネ] お前が食べなければ、 この野菜は腐ってしまうぞ。 [モーヴ] …! [ボネ] そんなことになれば、私は悲しい… 一生懸命に育てたんだからな。 [モーヴ] ………… [モーヴ] どうしてボネは、 俺のことを気にかけてくれる? [ボネ] 素晴らしい花や野菜を腐らせることは… 私の主義が許さないからだ。 [ボネ] 魅力的な香りや味を持っていながら… 誰にも味わわせずに終わらせるなど…許せん。 [モーヴ] ふっ… 嬉しいことを言ってくれるな。 [モーヴ] しかし、こんな俺が 腐らないで成長できるのだろうか。 [ボネ] すぐに答えの出るものではないだろう… 焦らないで考えていけばいい。 [ボネ] とりあえずは、この野菜を食べながらな。 [モーヴ] ああ。そうだな。 そうさせてもらおう。 [ボネ] 焼いて食べるだけでも充分だが、 私が調理すればもっと美味くなるぞ…? [モーヴ] ありがとう、ボネ。 [モーヴ] お前の気持ちに応えるためにも、 俺は腐らずに…成長する道を探し続けるよ。 --- S ---