=== ブシュロン & カゲツ === --- C --- [カゲツ] そなた、フィレネ王国のブシュロンじゃな。 かなりの腕の持ち主と見た。 [カゲツ] 余はイルシオン王国のカゲツ。 ぜひ手合わせを願いたい! [ブシュロン] …いい目をしているな。 いいだろう。受けて立とう。 [カゲツ] 感謝いたす。 では…いざ、真剣勝負! [カゲツ] たぁ! せいっ! [ブシュロン] ふふ、やるな。 だが軽い! [カゲツ] ふぅ…力戦奮闘じゃった。 今日のところは、この辺でお開きじゃ。 [カゲツ] 余は嬉しいぞ。 見込んだ通りの腕じゃった。 [カゲツ] いい体をしてるだけあって… 一撃が重く、防御も固い。 [ブシュロン] あんたもよかったよ。 独特な動きで、防ぐのに苦労した。 [カゲツ] 独特な動き? ああ、きっとそれは余の故郷の影響じゃろう。 [ブシュロン] 故郷? [カゲツ] いかにも。 余は独自の文化を持つ地域の出でな。 [ブシュロン] そうだったのか… それは興味深いな。 [カゲツ] 知りたければ、もっと余をうならせてくれ。 未熟者には何も教えてやらぬぞ。 [ブシュロン] なるほど、そうくるわけか… いいだろう。乗った。 [カゲツ] ではぜひ、また近いうちに手合わせを。 [ブシュロン] ああ。ぜひ頼む。 --- B --- [カゲツ] おお、親友。 待たせて悪かったのう! [ブシュロン] 親友? 一度、手合わせしただけだろう? [カゲツ] 何を言っておる。 一度、手合わせしたら親友じゃ! [ブシュロン] あんたの故郷ではそうなのか? [カゲツ] 当然至極。 それとも、そなたの国では違うと言うのか? [ブシュロン] まあな… [カゲツ] そうか…では、何をしたら親友になる? もしかして、きっすか? [ブシュロン] きっす? きっすって何だ? [カゲツ] よく、親しき者たちが 口と口を合わせているじゃろう。 [カゲツ] ほれ、はよしてこい。 そなたなら、してよいぞ。 [ブシュロン] きっす… 親しい者たちが口と口を合わせる… [ブシュロン] キスのことか? [カゲツ] そうそう、それじゃ。 ほれ、はよしてこい。 [ブシュロン] いや、するわけないだろう。 キスは恋人とかがするやつで、親友とはしないんだ。 [カゲツ] そうなのか? 他国の文化は、難しいものじゃ。 [カゲツ] ま、冗談はさておき、 そろそろ今日の手合わせをしよう。 [ブシュロン] 冗談だったのか… [カゲツ] 笑止千万。 親友はきっすしないなんてこと、誰でも知っておる。 [ブシュロン] くっ… からかうなよ… [カゲツ] ふふ。 悔しかったら、余を降参させてみよ。 [ブシュロン] いいだろう。 手加減はしないぞ。 [カゲツ] いい目つきじゃ。いざ! --- A --- [カゲツ] はぁ…はぁ…心満意足… 今日もいい手合わせじゃった。 [ブシュロン] ああ。 あんたとの手合わせは、どんな鍛錬にも勝る。 [カゲツ] 同感じゃ。 [カゲツ] 余は、そなたと親友になりたいと思っておる。 しかし、そなたは少し違うようじゃ… [カゲツ] だから、手合わせ仲間ぐらいのところで我慢してやろう。 それだけでも感慨無量じゃからな。 [ブシュロン] そうでもない。 俺だってあんたの親友になりたいと思ってるさ。 [ブシュロン] でも… [カゲツ] でも? [ブシュロン] あんた、故郷のこといつ話してくれるんだ? [ブシュロン] 人はそういう話をしていくうちに、 少しずつ親友になるものなんだぞ。 [カゲツ] ふむ。 わかった。よかろう。 [カゲツ] …余の故郷は、和という名の雰囲気を有しておる。 人々はみんな穏やかで、米と魚が本当にうまい。 [ブシュロン] 家族は? [カゲツ] 父は王族の親戚で剣の名手、 母は不思議な力を持つ巫女じゃった。 [ブシュロン] なるほど。 あんたの腕は親父さん譲りってわけだ。 [カゲツ] かもしれぬのう。 [ブシュロン] 家族とはよく会っているのか? [カゲツ] いや… 余は故郷を捨てた身だからな。 [カゲツ] 外の世界への憧れが捨てきれなかった… 簡単に言えばそういうことじゃ。 [ブシュロン] 家族に会いたいか? [カゲツ] もちろんじゃが… 今更、半端には帰れぬ。 [カゲツ] 衣錦還郷… こっちでがんばって、故郷に錦を飾らねば… [ブシュロン] うっ… [カゲツ] どうしたのじゃ? 泣いておるのか? [ブシュロン] 手合わせしていて思ったんだ… [ブシュロン] あんたは飄々としているけど、 いろんなものを背負ってるんだろうなって… [カゲツ] うっ…やめるのじゃ… 余まで泣けてくるではないか… [カゲツ] さあ、きっすじゃ! 責任を取って早くきっすするのじゃ! [ブシュロン] えっ? [カゲツ] 余の故郷では、人前で泣いたらきっすしなくてはならぬ。 早くするのじゃ! [ブシュロン] ええっ!? [カゲツ] あはは、冗談じゃよ。 そなたをからかうと本当におもしろいのう。 [ブシュロン] はあ…いい加減にしろよ… [カゲツ] また手合わせするか? 余が降参したら、余のことをもっと話してやろう。 [ブシュロン] いいだろう。 では俺が降参したら、俺のことを話す。 [カゲツ] それは楽しみじゃ! では、いざ! --- S ---