=== ブシュロン & パネトネ === --- C --- [パネトネ] ブシュロンさん。 今、お時間よろしいでございますですか? [ブシュロン] ああ、大丈夫だ。 [パネトネ] つかぬことをお聞きいたしますですが… [パネトネ] ブシュロンさんは、フィレネ王国の伯爵家のお方で いらっしゃいますですか? [ブシュロン] そうだ。 [パネトネ] 素晴らしい…! 貴族であるあなたに、ぜひお願いがございますの。 [ブシュロン] お願い…? [パネトネ] ご存じのとおり、わたくしはソルム王国の 第一王女に仕える身… [パネトネ] 王家に失礼のないよう、常に御礼儀作法には 気をつけておりますですわ。ですが… [パネトネ] まだまだ不安な部分が たくさんあるのでございますです。 [パネトネ] そこで、ブシュロンさんにフィレネ王国の 御礼儀作法について教えてほしいでございますですの! [ブシュロン] 礼儀作法? ああ、別にいいが。 [パネトネ] ありがとうございます! [ブシュロン] 俺もソルムの礼儀作法には興味がある。 [ブシュロン] ともに王族に仕える者として、 互いの国ことを教え合えたら楽しそうだ。 [パネトネ] それは名案でございますですわね。 [パネトネ] ブシュロンさんに相談して よかったでございますです。 [パネトネ] これからよろしくお願いいたしますですわ。 [ブシュロン] ああ、こちらこそ! --- B --- [ブシュロン] ナイフやフォークは料理ごとに、 外側から順番に使うんだ。 [パネトネ] わかったでございますです。 [パネトネ] あれ…あれ… 上手く御料理が掴めないでございますです… [ブシュロン] 一口が大きいんだな。もう少し小さく切ろう。 その方が上品にも見えるからな。 [パネトネ] 一口を小さく… うう…難しいでございますです… [ブシュロン] 不安があるとは言っていたが、 この段階だとは思わなかったな。 [パネトネ] と、とりあえず、 お水を飲んで落ち着くでございますです。 [パネトネ] んぐっ…んぐっ… [ブシュロン] ああっ、違うぞパネトネ! その器の水は手を洗うのに使うんだ! [パネトネ] ええっ!? 紛らわしいですます! [ブシュロン] ソルム王家ではどうやって食事をしていたんだ? [パネトネ] いつもは他の人を真似して、 付け焼き刃で乗り切ってたでございますですわ。 [ブシュロン] …ある意味すごいな。 [パネトネ] やっぱりわたくしには… 御礼儀作法など無理なのでしょうか。 [ブシュロン] そんなことはない。 誰だって最初はできないものだ。 [パネトネ] …実はわたくし、 家庭環境のあまりよくない家で育ちましたです。 [パネトネ] そんな人間が御礼儀作法を学ぶなんて おこがましかったのでしょうか。 [ブシュロン] 生まれは関係ないさ。 上達したいんだったら、諦めずに頑張ろう。 [ブシュロン] 出来ないからって見放したりしない。 いくらでも付き合うさ。 [パネトネ] ブシュロンさん… [ブシュロン] さぁ、繰り返しやってみよう。 そうすればきっとできるはずだから。 [パネトネ] ありがとうございます。 わたくしが間違っていたでございますですわ。 [パネトネ] 応援してくださるブシュロンさんのためにも、 諦めずに努力するでございますです! --- A --- [パネトネ] 食事の前は姿勢を正しくして、 神様にお祈りをするのですわ。 [パネトネ] ………… [パネトネ] フィレネ王国は博愛主義国家。 この後は食材にも感謝の気持ちを伝えますです。 [パネトネ] 生きとし生けるものに感謝する。 素晴らしいことでございますですわ。 [ブシュロン] 以前教えた礼儀作法の復習か? [パネトネ] はい。せっかくですから、 ブシュロンさんも見ていてください。 [パネトネ] この料理をナイフとフォークを使って 食べてみせるでございますです。 [パネトネ] 外側から…食器を取って… 一口は小さく… [パネトネ] …できたでございますです! [ブシュロン] おめでとう、パネトネ。 まだ少しぎこちないが一歩前進だな。 [パネトネ] ありがとうございます、ブシュロンさん。 [パネトネ] わたくしは過去から抜け出したくて御礼儀作法を 学ぼうとしていたのだと思いますです。 [パネトネ] ブシュロンさんに教えていただいて、 初めて楽しく御勉強できました。 [パネトネ] 成功したのは全部、 あなたのおかげでございますですわ。 [ブシュロン] パネトネの努力の成果でもあるぞ。 よくやったな。 [ブシュロン] それじゃあ、今度はソルム王国の 礼儀作法を教えてもらう番だな。 [パネトネ] ソルムの? [ブシュロン] 忘れたとは言わせないぞ。 お互いに礼儀作法を教え合うという約束だったろう? [パネトネ] ええ、そうでしたですね。 [パネトネ] …ソルム王国は自由な国でございますです。 あまり形式ばった作法はなく、 [パネトネ] 基本的には歌って踊って楽しく過ごすのが 礼儀でございますですわ。 [パネトネ] もちろん場合にもよりますけれど。 [ブシュロン] へえ、面白いな。 [ブシュロン] 国によって礼儀作法は全然違うものだ。 だが、強いて共通点を上げるとすれば… [パネトネ] 相手を思いやる気持ちが大切、ですわね? [ブシュロン] ああ。きっと礼儀作法に一番大切なのは 他者への思いやりだ。 [ブシュロン] その点においてはパネトネは満点だな。 [パネトネ] ブシュロンさんもでございますですの。 [ブシュロン] 俺も初めて気づいたよ。 ありがとな、パネトネ。 [パネトネ] 理想の淑女に、少しずつ近づけているような 気がいたしますですわ。 [ブシュロン] ソルムの礼儀作法、他にもあるんだろう? もっと教えてくれ。 [パネトネ] ええ。これからも二人で一緒に、 思いやりの気持ちを学ぶでございますです。 --- S ---