=== セリーヌ & フォガート === --- C --- [フォガート] あっ、セリーヌ王女。 今日もかわいいね。 [セリーヌ] こんにちは。 フォガート王子。 [フォガート] こんにちは。 [フォガート] …かわいいって言ったことには、 反応してくれないのかな? [セリーヌ] フォガート王子のお世辞に いちいち反応していたら日が暮れてしまいます。 [フォガート] お世辞じゃないんだけど、 信じてくれない感じか。 [フォガート] そうだ、今からお茶でもどう? セリーヌ王女は紅茶が好きなんでしょ? [セリーヌ] ええ。 [フォガート] ソルムとフィレネの王族同士、 交流を深めるのも大切だと思うんだよね。 [フォガート] 価値観の違いとかって新たな刺激にもなるしさ。 お互いのためにもなると思うんだけど。 [セリーヌ] うふふ。 交易で栄えたソルムの方らしい考え方ですね。 [フォガート] そういうこと。 [セリーヌ] ですが、ごめんなさい。 今日のところはお断りしますね。 [セリーヌ] フィレネの民は本来、牧歌的な生活を好み… あまり冒険に出る気質ではないので。 [フォガート] 俺とお茶を飲むのが冒険ってこと!? [セリーヌ] ええ。それもかなり危険な冒険です。 それでは。 [セリーヌ] [フォガート] ありゃ、本当に行っちゃった。 もう少し時間をかけないと無理か。 [フォガート] さすがはフィレネの第一王女。 簡単には懐に入れてくれないね。 --- B --- [フォガート] セリーヌ王女。 今日もかわいいね。 [セリーヌ] ありがとうございます、フォガート王子。 [フォガート] 今日こそは一緒にお茶でもどう? そろそろ交流を深めようよ。 [セリーヌ] そうですね…どうしましょう。 [フォガート] あらら。 まだお悩み中? [フォガート] まあ、仕方ないのかな。 セリーヌ王女はフィレネの人だし。 [セリーヌ] 冒険をあまり好まないと言いましたからね。 [フォガート] そうそう。 ま、それだけじゃないんだけどね。 [セリーヌ] それだけではない、とは? [フォガート] ほら、フィレネって農業や畜産が盛んで 蓄えの心配なんて不要なくらい豊かな国でしょ? [フォガート] それはそれで素晴らしいことだと思うよ。 [フォガート] でも、逆に言えば 自国だけで全てが完結しちゃってるからね。 [フォガート] 外の人に対しては門が必要以上に固いのかなってさ。 閉じた世界ってやつ。 [セリーヌ] なるほど。 そう言われると、少し寂しい気がしますね。 [セリーヌ] …いいでしょう。 フォガート王子のお誘いをお受けします。 [セリーヌ] フィレネの民が閉じた人間ではなく… [セリーヌ] その牧歌的な生活が育むおおらかさ故に、 他者を受け入れる度量があることを証明します。 [フォガート] ははは! さすがセリーヌ王女だね。 [フォガート] 自国の否を王女自らが正すなんてさ。 俺も見習わなくちゃ。 [セリーヌ] わたしもこの機会に フォガート王子の処世術を学ばなくては。 [セリーヌ] 他国の王族に取り入り いかにして情報を引き出すか、を。 [フォガート] …正直その一面があるのは否定しないよ。 こんなんでも、俺は第一王子だし。 [フォガート] でもさ、今日は普通にお茶を楽しもうよ。 同じ側に立っている仲間としてさ。 [セリーヌ] それは嬉しい申し出ですね。 ありがとうございます、フォガート王子。 --- A --- [セリーヌ] フォガート王子。 わたしたちって似ているとは思いませんか? [フォガート] そうなんだよね。 俺もそう思ってた。 [フォガート] 見た目も性格も違うのに、 なんか妙にお互いのことは理解できる感じじゃない? [セリーヌ] ええ。 同感です。 [フォガート] ま、考えてみれば 立場的な話から同じなんだよね。 [フォガート] 俺たちはどっちも 王位継承権の筆頭は他にいるでしょ? [セリーヌ] そうですね。 [セリーヌ] ですから、幼少期より、 王を支える存在になりたいと願っていました。 [フォガート] 同じ同じ。 で、自分には何ができるかをすごく考えてた。 [フォガート] 姉さんを支えるためには あの人より強くなきゃダメだ。 [フォガート] だから、姉さん以上に手合わせに励んだし、 城の外に出て、問題を解決して回ったよ。 [セリーヌ] やはり、そうなのですね。 [セリーヌ] わたしの場合、病弱な兄を支えるために 剣術と魔法の腕を磨きました。 [セリーヌ] でも、ひどいんですよ? 鍛錬を続けて、支える力がついたと思ったときには… [セリーヌ] 兄はすっかりお元気そうになっていて。 [フォガート] あはは。 それは嬉しいやら悲しいやらだね。 [フォガート] うん。 やっぱり似てるよ、俺たち。 [セリーヌ] わたしもフォガート王子も、 きょうだいを愛し、自国を愛しています。 [フォガート] で、その愛する対象を守るためなら… 俺たちは鬼になれる。 [セリーヌ] ええ。 平和的な手段でないことも躊躇なく行えます。 [フォガート] ………… [セリーヌ] ………… [フォガート] 良かったよ。 俺たちはお互いの怖さも知ってるってことでしょ。 [セリーヌ] ですからソルムと争うような道は、 決して歩みたくありません。 [フォガート] これからも仲良くしようね。 信頼できる仲間としてさ。 [セリーヌ] ええ。フォガート王子。 理解し合える仲間として歩みましょう。 --- S ---