=== セリーヌ & ジャン === --- C --- [セリーヌ] ジャン、どうもありがとう。 [ジャン] セリーヌ王女。 なんでいきなりお礼を…? [セリーヌ] ジャンの故郷の茶畑で採れる茶葉は、 わたしの大のお気に入りなの。 [セリーヌ] 一口飲むだけで、いつもわたしを幸せにしてくれる。 だから、お礼を言わなくてはと思って。 [ジャン] そういうことでしたか。 こちらこそ、ありがとうございます。 [ジャン] セリーヌ王女がそんなに気に入ってくださってるなんて、 お母さんに伝えたら絶対に喜ぶわ。 [セリーヌ] ジャンのお母様が? [ジャン] 母は故郷の島にある、 茶葉を加工する工房で働いてるんです。 [ジャン] 多分、セリーヌ王女のもとにも、 母が加工した茶葉が届いてると思いますよ。 [セリーヌ] そうだったのね…! なら是非、お礼を伝えておいてくれるかしら。 [ジャン] はい。王女様に褒めてもらえるなんて、 お母さんの一生の自慢になるわ。 [セリーヌ] ジャン。 良かったら、今度お茶会をしない? [セリーヌ] せっかくお母様の話が出たから、 ジャンの故郷の茶葉を用意するわ。 [ジャン] えっ…! あ、ありがとうございます。 勿体ないほど嬉しいお誘いです。 [ジャン] セリーヌ王女とお茶やなんて、 恐縮ですけど…楽しみにしてます。 [セリーヌ] ええ、わたしもよ。 また声をかけるわね。 --- B --- [セリーヌ] こんにちは、ジャン。 [ジャン] セリーヌ王女。こんにちは。 [セリーヌ] あら、それは医学書かしら。 今日はこれからお勉強? [ジャン] はい。 いい医者になるために。 [セリーヌ] 立派ね。 じゃあ、お誘いは日を改めることにするわ。 [ジャン] お誘い… もしかして、この前のお茶会の件ですか? [セリーヌ] ええ。ジャンの故郷の茶葉が手に入ったの。 だから今日にでもどうかと思ったのだけれど… [セリーヌ] お勉強の方が大切だわ。 [ジャン] す、すみません。 お気遣いいただいて。 [セリーヌ] とんでもない。楽しみが先に延びただけのことよ。 待った分だけ、よりおいしく感じられるはずだわ。 [ジャン] セリーヌ王女がこんなに言ってくださるやなんて。 自分の故郷の茶葉はすごかったんですね。 [セリーヌ] うふふ、いま気が付いたの? [セリーヌ] ジャンの故郷で取れる茶葉は世界に誇れるものと わたしが保証させていただくわ。 [ジャン] ありがとうございます。 [セリーヌ] そういえば…ジャンはお茶の道は考えなかったの? お母様も工房で働いているようだし。 [ジャン] 考えたことなかったですね。 お茶は美味しいですけど、人は救えませんので。 [セリーヌ] 人は救えない… [セリーヌ] ………… [ジャン] ? セリーヌ王女? [セリーヌ] ごめんなさい、なんでもないの。 お勉強の邪魔になるから、もう行くわね。 [ジャン] これで勉強もはかどると思います。 ありがとうございました。 [セリーヌ] あまり無理せず頑張ってね。 --- A --- [ジャン] うーん… 頭に入っていかへん… [セリーヌ] ジャン、お疲れ様。 お勉強、頑張っているみたいね。 [ジャン] セリーヌ王女。 [ジャン] 頑張ってはいるんですけど、中々。 だんだん頭も疲れてきて…あかんなあ… [セリーヌ] そんなときは、これをどうぞ。 [ジャン] この香り… 自分の故郷のお茶ですか? [セリーヌ] ええ、その通りよ。 [セリーヌ] ジャンがお勉強で悩んでいる姿が見えたから。 お茶を飲んで気分転換できればと思ったの。 [ジャン] セリーヌ王女… ありがとうございます。 [ジャン] …うん。懐かしい香りや。 美味しいし、ほっとする。 [セリーヌ] …ねえ、ジャン。あなたはこの間、 お茶は人を救えないと言っていたけれど… [セリーヌ] わたしはジャンの故郷のお茶に、 何度も救われたと思っているのよ。 [ジャン] お茶に救われた…ですか? [セリーヌ] 物事が上手くいかなくて、落ち込んだ気分のとき… 美味しいお茶を飲むの。 [セリーヌ] すると、たちまち心が軽くなるわ。 [セリーヌ] ただの気分転換かもしれないけれど、 それを機に物事がうまくいくこともある。 [セリーヌ] それを救いと呼ぶのは…大袈裟かしら? [ジャン] …いいえ、そんなことありません。 [ジャン] 実際、自分も今、 気分が軽くなってますから。 [ジャン] ありがとうございます、セリーヌ王女。 大切なことを教えてくれて。 [ジャン] それから…ごめんなさい。医者の卵としても… お茶は人を救うと、考えを改めます。 [セリーヌ] 謝ることはないわ。 ジャンの気分が軽くなったのなら、よかった。 [ジャン] なんかお母さんに会いたくなってきました。 故郷のお茶は世界一やって、そう伝えたいです。 [セリーヌ] わたしも一緒に行って伝えたいわ。 いつも幸せにしてもらっていますって。 [ジャン] あの、もしセリーヌ王女が良かったら、 このままお茶会にしませんか。 [ジャン] 自分だけ飲むのも悪いし…その… もう少し、セリーヌ王女と話したいんです。 [ジャン] もちろん、終わったらちゃんと勉強しますんで! [セリーヌ] うふふ。 嬉しいお誘いだわ。ありがとう。 [セリーヌ] 実はわたしも、飲みたいなって思っていたの。 はしたなくって、ごめんなさいね。 [セリーヌ] じゃあ、準備をしましょうか。 お茶のことを、いっぱいお話ししましょう。 [ジャン] はい…! --- S ---