=== セリーヌ & ルイ === --- C --- [ルイ] いかがでしょうか、セリーヌ様。 [セリーヌ] ええ。 とてもいい香りだわ。 [セリーヌ] 柑橘系の果物と…これは花ね? しかも一種類じゃないわ。 [セリーヌ] そう…暖かい季節に咲く、 色とりどりの花の香り。 [セリーヌ] それらが見事に調和して、 素敵な香りとなっているわ。 [ルイ] お気に召されたようで安心しました。 [ルイ] フィレネの南で取れた茶葉に 乾燥させた果皮と花を混ぜた紅茶です。 [セリーヌ] とても美味しいわ。 いつもありがとう、ルイ。 [セリーヌ] 毎日、ルイがいれてくれる紅茶を飲める。 わたしはそれだけで幸せよ。 [ルイ] ははは。 ありがとうございます、セリーヌ様。 [ルイ] そういえば少し前にお話した、 あの特別な茶葉の話を覚えていますか? [セリーヌ] ええ。 もちろん覚えているわ。 [セリーヌ] その特別な茶葉を使うと、 他では味わえないような美味しい紅茶になるとか。 [ルイ] はい。 [ルイ] 実はその茶葉を入手できる伝手ができました。 近いうちにお楽しみ頂けるかと。 [セリーヌ] 本当に? それは嬉しいわ。 [ルイ] 楽しみにお待ちくださいね。 --- B --- [セリーヌ] …信じられない。 [セリーヌ] この芳醇な香り、どこまでも奥深い… こんな紅茶は今まで味わったことがないわ。 [ルイ] お気に召しましたか? [セリーヌ] ええ、もちろんよ。 [セリーヌ] 今までたくさんの紅茶を飲んできたけれど、 これほどのものはそうそうなかったわ。 [セリーヌ] ルイ、本当にありがとう。 [ルイ] 喜んで頂けたようで嬉しいです。 [セリーヌ] お代わりを頂いてもいいかしら? [ルイ] もちろんです。 まだまだたくさんご用意できますからね。 [セリーヌ] ありがとう。 わたし、とっても幸せよ。 [ルイ] ははは。 僕も苦労した甲斐がありました。 [ルイ] っ… [セリーヌ] ルイ? 腕、どうかしたの? [ルイ] 大したことではありません。 この茶葉を取りに行く際に少し… [セリーヌ] どういうこと? [ルイ] 実はこの茶葉は人の手で作られたものではなく 天然の茶畑に生えているものなんです。 [ルイ] それでその茶畑までの道のりが険しく しかも凶暴な獣もいたものですから… [セリーヌ] …襲われたのね。 [ルイ] でも、ご安心を。 かすり傷でしたから。 [ルイ] これほどの茶葉を入手できたのですから この程度の傷、なんともありませんよ。 [ルイ] さ、お代わりが入りましたよ。 どうぞ召し上がってください。 [セリーヌ] …いえ、結構よ。 わたし、もう行くわね。 [ルイ] セリーヌ様… --- A --- [セリーヌ] ルイ、この間はごめんなさい。 [セリーヌ] せっかく淹れてくれた紅茶を 途中で飲まずに帰ってしまって… [セリーヌ] わたしのために、 あなたが苦労して用意してくれたものなのに。 [ルイ] セリーヌ様。 謝罪など不要ですよ。 [ルイ] 僕がセリーヌ様のご気分を 害してしまったのですから。 [セリーヌ] ………… [セリーヌ] ルイ、わたしはね… いつも幸せを感じているのよ。 [セリーヌ] あなたがいれてくれる紅茶を飲むたびに、 いつも幸せな気持ちになるの。 [ルイ] ありがとうございます。 [セリーヌ] 特別な茶葉でいれてくれた紅茶… あれを飲んだときは、いつもより大きな幸せを感じたわ。 [セリーヌ] でも… でもね… [セリーヌ] その大きな幸せのために ルイが危険な目に遭うのは嫌なの。 [ルイ] セリーヌ様… [セリーヌ] 毎日、ルイの笑顔を見て、 普通の紅茶を飲む。 [セリーヌ] そんな小さな幸せがあれば、 それ以上のものなんていらないわ。 [ルイ] …まったく自分が情けないですよ。 [ルイ] 主の真の望みを理解できていなかったとは。 臣下としてあるまじき失態ですね。 [ルイ] ですが、これからは違います。 今、ここに誓いましょう。 [ルイ] 僕はセリーヌ様のささやかな幸せを守るために、 これからもお傍で仕え続けると。 [セリーヌ] ええ。 よろしくお願いするわ、ルイ。 [セリーヌ] …早速だけれど、 紅茶をいれてくれるかしら? [ルイ] はい。かしこまりました。 特別な茶葉でなくてよろしいのですね? [セリーヌ] うふふ。 もちろんよ。 [セリーヌ] 特別でなくとも…いつも通りのこの時間が、 わたしにとっては特別なひとときなのだから。 --- S ---